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2017年03月18日

大人の発達障害と就労支援・雇用の実務

大人の発達障害と就労支援・雇用の実務



タイトルからもわかるように、これは発達障害者自身が読むような種類のものではない。
実際読んでみて「これは役に立つ」っていう内容もなく。

 そこで、発達障害者の雇用に関心を持つ事業者の方々に道標として少しでもお役に立てればとの思いから、発達障害者の特性と法的制度を包括的に解説する書物を編むことを企画いたしました。(1〜2頁)

という内容です。
法律的なこととか、かなり専門的な内容も盛り込んであるし、発達障害者を雇う側にとって重要なカネの話なんかも登場なので、企業の方や企業に発達障害者を送り込む立場の人たちなんかには意味のある内容かとは思うんだけどね・・・。
ちょっと無駄な感じの内容が時々出てくるのと、どうしても避けきれないのかも知れないけど誤解を生みかねないような内容もあるので、もうちょっとそのあたりスッキリさせた方がより実用的だったのではないかと。

人事とか、企業の偉い人とかにとっては必要な内容が多いけど、現場で発達障害者に直接関わる人たちにとってこの本でいいかっていうと、この本だけでは足りないというか、内容が今一つ具体的ではない感じが。
具体的なことも出てはくるんだけど、ちょっと的外れな感じの内容だったり。

企業で働く発達障害者に結構多いと思われる「過剰適応」は一切登場せず。
過剰適応になったとしても「打つ手なし」だから載せるだけ無駄ってことでしょうか?
確かにそうかも知れないんだけど「普通に仕事をこなせているのに本人は『つらいから辞めたい』って言っている」みたいな状況ってあると思うんだ。
で、企業側は「どうしたら?」っていう。
私もそうだったけど、発達障害者自身が「自分が過剰適応を起こしている」っていうのを全く気付いていない(というかそういう言葉自体も知らなかったり)ってことが殆どだと思うんだよね。
そういう時に企業の担当者が「この人は過剰適応を起こしているのかもしれない。じゃあ仕事のさせ方はこういうふうにしてみたらどうだろう?」とか本人に過剰適応であるというのを伝えて、一緒に「仕事を辞めずにどういう対応が考えられるか」みたいなのを考えていくとかってのは重要だと思うのだ。
例え、その仕事が結局辞めるしかない状況になったとしても、その発達障害者がその後、私みたいに無駄な転職を繰り返すってことを避けられる可能性が出てくるでしょう?

本人にはわざと周りの人に迷惑をかけたり、不愉快な思いをさせる意図はないということを理解してあげることが大切です。(12頁)

うん。
そうなんだけどね、それって周囲の人が一方的に我慢するだけになっちゃって、最終的にはロクなことにならないパターンかな。
「悪気がないのが一番悪い」って思う。

33ページからの「2 発達障害者の子どもの頃の特徴について教えてください」、36ページの「3 発達障害者の成長と症状の変化についての関係を教えてください」あたりは必要かねぇ?
企業で雇うって時に子供の頃のこととか必要?

39ページに発達障害の診断の流れが載っているんだけど、これが一般的な流れとは異なるように思える。
かなり最新の情報を盛り込んだ本だから、私の時とは違うのかな?
「成育歴の問診」は普通にやるからわかるんだけど、それ以外の検査に一般的にやっているハズの「WAIS-III」が全く登場せず「こんなのあったっけ?」って感じの検査がたくさん書かれている。
MRIなんかも使っているところもあるのかも知れないけど、一般的ではなくかなりの特殊例だよねぇ・・・。

 軽度の発達障害の方がレジリエンス力を発揮する例としては、−中略−
 ・暗記力の良さを活かし「誕生日などにポジティブなメッセージを送り、仲間から良きサポートを得る」
 ・感覚の敏感さを活かし「味覚のテイスティングや音楽にかかわる仕事につく」
などがあります。
(41〜42頁)

まあ、あくまで「例」ってことで挙げてあるんだけどさぁ・・・こんな書き方をすると、発達障害者は全員記憶力がいいみたいに誤解させかねないよねぇ。
「感覚の敏感さを活かし」って感覚過敏はあくまで「過敏」なのであって「優れている」のとはまるっきり違うんだけどね。
このあたり、実際に「異常に優れている人」も時々いるので混同されがちだけど、私も「ダメな音」「ダメな臭い」は多いんだよ。
でも、耳がいい方じゃないし、鼻だってよくない。
「定型発達者が平気なもの(音・さわり心地・臭い・味等々)」が、とても不快に感じられて耐え難いってのが「感覚過敏」だと思うのだ。

48ページ以降、ヨーガ(ヨガ)の具体的なやり方が紹介されている。
実際、発達障害者にはこういったものが有効なのかも知れないけど、この本でこういうことを詳しく紹介する必然性ってあんのかな?
「ヨガなどを取り入れると、こういう効果が期待できます」程度でサラッと紹介するだけじゃあダメだったのかな?

59ページの「6 発達障害者が日常生活で気をつけることは何ですか」は、内容的に何だかなぁ・・・って感じで。
「あいさつをきちんとしましょう」って言われてもねぇ。
これを職場の人が雇った発達障害者に対して指導するのかねぇ。
発達障害者もピンキリなんであくまで私の場合だけど「あいさつをしなけりゃいけない」ってのは理解できるんだよ。
問題は「感情をこめてあいさつをすることが凄まじい苦痛を伴う」っていう。
まあ、こういう感覚的なことは定型発達者には全く理解できないだろうけど。
だから「あいさつをきちんとしましょう」ってのは私にとっては無意味な内容だな。
それよりも「いかに『あいさつ』という形式をこなすか」ってのが重要だった。

72ページの「図表3-3 発達障害者のプラス特性とマイナス特性」がひどいなと。
プラス特性のE障害者同士の結束力が強い
アスペ同士って衝突するものって相場が決まっていると思うんだけどな。
結束力が強いのか。
初めて聞いた。
更にひどいのがF純粋で優しい
え〜と・・・何を根拠に????

この本を読んだ感想としては「へぇ〜。企業にはこんなに助成金が入るんだぁ」っていう。
その程度かな。
あくまで企業に入るんであって、働く発達障害者には別段恩恵がないという。

posted by ひと at 20:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 発達障害 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする