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2018年11月05日

アスペルガー症候群と学習障害-ここまでわかった子どもの心と脳

アスペルガー症候群と学習障害-ここまでわかった子どもの心と脳 (講談社 α新書)



だいぶ前に出版された本なので内容が若干古い。
この手のことはどんどん新しい学説が出たりもするし、病気としての分類なんかもずいぶん変更になっているし。

もっと学習障害について詳しく掲載されている本なのかな?と思って読んだけどそうでもないな。
今まで読んだどの本ともたいぶ切り口が違うっていうか。
学術的な内容も多いけど、かなり読みやすく書かれていると思う。

 高機能自閉症でアメリカの畜産学の専門家であるテンプル・グランディンさんは、そうした毎日の努力をしている自分のことを「火星人に囲まれて調査をしている人類学者」と称している。もし地球の人類学者が火星に降りたったら、周りにいる火星人が、どんな価値観でどんなことを思っているかまったくわからない。それでもそうした火星人のことを調査し、火星人の意味のわからない行動や言語から、想像しなくてはならない、というたとえで生活の苦労をあらわしたのだろう。(134〜135頁)

自分の星に帰ることができたらどんなに楽だろうと思うが、私たちには帰るべき星がない。

現在「発達障害ブーム」の到来で、以前は全人口の0.04%とか言われてたのに、今はもっと多い数の発達障害者がいるとされて、そのパーセンテージは上がる一方なのだが。
当然「急に増えてきた」というように見えるので、「昔はそんな人はいなかったのに」っていうことで「ワクチンのせいだ」とか「食品添加物が」とかいろいろ言う人がいる。

 ところがアスペルガー症候群は、心の理論の未成熟や、顔や表情、言葉のニュアンスなどを理解するための対人的知能に問題があり、明らかな運動や言葉の遅れは目立たないので、健診でも気づかれずにきたのだ。しかしソーシャルスキルの障害があるために、生きていく社会構造が複雑になるにしたがって、その障害が明らかになるのだ。さらに近年ソーシャルスキルの鍛錬の場所が少なくなり、周りの子どもたちも昔にくらべてソーシャルスキルが下手だから、ますます目立つようになってきたのではないだろうか。(142頁)

今の社会は昔に比べてアスペルガーの人が適応しづらい構造になってしまっている。
その上、子供の頃から大勢の人にもまれて社会性を身に付けていくといった部分が手薄になってきているので、以前であればもっと「他人が出すサイン」を理解するための機会が豊富にあったのに、そういう機会が乏しいまま大人になって、大人になってから落ちこぼれてしまって「あれ?これってひょっとして」みたいな。
実際そうなんだろうなと思う。
昔と違ってアスペルガーの人が適応しやすい職種が減ってしまっているので、今の「営業から事務から全部一人でやれないと勤まらない」っていう方向性の仕事って、非常に適応しづらい人が多いんじゃないかと思う。
私もずいぶん長いこと、自分の障害に気づかずに来てしまって、結果的に「普通の人間のふり」がほぼ完ぺきにできるようになってしまったが、あくまで「人間のふり」であって、常に無理をしてる。
でも、以前の私は他の人も全員「人間のふり」をして、とても無理をして生きていると誤解していたのだ。
私のように誤解したまま一生を過ごす人が多数派だったってことだよな。
正直、それがいいことなのか悪いことなのかわからない。
以前は早期発見早期療育みたいなのを、妬ましいぐらいに思って見ていたけど「本当にそれでいいのか?」って思うようになってきたし、自分もあのまま知らなかったらよかったとは思わないまでも、では「知ってよかったか?」となると、結論が出ていない状態。

この本をどういった人に読んでもらうといいかってのは正直よくわからなかった。
私のように自分の障害で困っている人が読んで別に役に立つような内容もなく。
アスペルガーや学習障害についての学術的な内容をこれから理解したいという人が入門的に読むみたいなのが適切かな?
「発達障害は親に原因が!」「ワクチンが!」とか言っている人に読んでもらったところで、理解するってことはないだろうしな。

posted by ひと at 18:52| Comment(0) | 発達障害 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする