これの続きです。
ルーズ&タイト。
これが経済界というか産業界に於いてもタイトな文化圏とルーズな文化圏。
これが組み合わせが難しい。
自動車業界の巨大企業、ダイムラー・ベンツとクライスラー・コーポレーションは合併してダイムラークライスラーとなった。(175頁)
問題を引き起こしたのがこのタイト&ルーズの問題。
文化の違いゆえに折り合えないことがすぐに露呈した。(175頁)
対等合併をしようという話になったのだが失敗に終わっている。
ダイムラーは−中略−
いかにもドイツで創業された企業らしく、タイトな傾向が強かった。これに対してクライスラーは、もっとおおらかで自由の利く平等主義的な社風をもつルーズな企業だった。(176頁)
僅かな文化の差だが
ダイムラーチームのドイツ人社員は、アメリカ人社員から敬称をつけたラストネームではなくファーストネームで呼ばれるのを不快に思った。(176頁)
アメリカ人社員は、職務上のやりとりをしているときには手をポケットに入れないといったドイツの礼儀を学んだ。(176頁)
日常の習慣と仕草の差が360億ドルともいえる利益をひっくり返して合併は失敗に終わった。
やはりドイツの人からすると(手を)ポケットに突っ込んでものを言っている部下というのがどうしても許せない。
「私も許せない」「ポケットから手ぇ出しなさい」と思う水谷譲。
それから下の名前で呼び合う。
アメリカの文化にとっては特にそう。
下の名前で呼び合うことで仲のよさを強調する。
それは気さくでいいと思う水谷譲。
全然いいと思う武田先生。
本の中で「名言だなぁ」と思ったのは
文化とは氷山のようなものだ。(179頁)
隠れている部分が多い。
イスラエルを見てみよう。このきわめてルーズな国は世界有数のスタートアップ大国で(179頁)
アップル、グーグル、マイクロソフト等々はイスラエルの企業を横目で睨んでいる。
この国は地位の高い人をワリと失礼なあだ名で呼ぶ習慣を持っていて、それがドイツ人とは違ってアメリカ人と気質と合う。
イスラエル人はよく地位の高い人を愛称で呼んだり−中略−
、無礼なあだ名をつけたりする。たとえば身長が一九八センチもあったイスラエル国防軍参謀総長のモシェ・レヴィは「モシェ・ヴェヘツィ」(一.五人分のモシェ)と呼ばれていた。(180頁)
(番組の中で196cmと言ったが、本によると上記のように198cm)
イスラエルにはリスクを望む人が多い。(180頁)
シンガポールや日本、韓国はルールと階層型組織で社会に同調圧力があり、その集団の意思みたいなものを汲み取る能力のない者は排除されてしまう。
ただ、日本の特色は大企業はタイトであるのに対して中小企業はルーズである。
そのバランスがいいのだ。
中小企業の社員の人が仲良く「ハナちゃん、スパナ持ってきて」とかと・・・いい。
下町ロケットみたいな感じで。
「ちゃん」で呼び合う中小企業。
役名で呼び合ういわゆる大会社。
このルーズ&タイトは人の脳に深く強い習慣を付けるそうで、現代の中国人の脳ニューロンを今はMRIなんていう機械があって調べられる。
アメリカ人と中国人のどちらの参加者でも、規範を逸脱した行為について読んだときには、脳の中心頭頂部で活動が記録された。−中略−
中国人参加者のニューロンは、前頭野で激しく発火した。これは他者の意図について考え、罰に関する決定を下すのを助ける領域だ。対照的にアメリカ人参加者の脳では、前頭野はほどんど反応を示さなかった。(219頁)
心理テストでわかったことは、中国人にとって一番気がかりなのは、何か?
それは他者の意図を汲み予想し読むこと。
これを使うところが真っ赤に燃えている。
「コイツ、何を考えてるんだろう?」
そのことに関する能力を使っているところが真っ赤に燃えている。
他者の意図を汲み、その次の行動を予想し読むこと。
習近平さんはそんな顔をしている。
今の日本の大臣さんなんかが会いに行くと・・・
岸田さんあたりが何を考えているかというのはもう何か・・・
眉毛の薄い習近平さん。
見透かしているという感じがする。
だから武田先生は菅さんを薦めた。
わかりにくい。
岸田さんはわかりやすすぎる。
習近平さんは眉毛が薄い。
表情が凄くわかりにくい。
あれが「中国風大人」なのだろう。
「オマエなんか全部読めるんだぞ、俺は」という。
これが中国人の人が一番脳の発火で激しく使っている。
そしてその次に燃えているところがどこかというと、罰に関するニューロンが真っ赤に燃えている。
重い責任を取らされる。
そこを気にする。
人の心を読むというのと逃げ道をどう作るか。
もの凄く「計算計算計算」という感じがする水谷譲。
今の中国の方の脳の使い方を昔の言い方で言うと「敵を知り、逃げ道を作れば百戦殆(あや)うからず」。
やっぱりロシアと違う。
重い責任を取らされる。
それをどうかいくぐるかが二番目に重要なところ。
これが本の中にはっきり書いてあったのは、この前頭野の使い方がアメリカ人と全く違う。
アメリカ人は敵は関係ない。
逃げ道は作らない。
このあたりが面白いところ。
今、世界はというとロシア、中国という非常にタイトな政治体制の国と欧米というルーズ、緩やかに繋がろうとするこの二軸の対立によって煙が上がっているというのが世界ではないだろうか。
ロシアの方々が一番苦しんだのは何といってもソ連邦崩壊。
これは凄い。
男性の平均寿命は、一九九〇年には六四歳だったが、一九九四年には五八歳まで下がった。(265頁)
だからパワーダウンした時にそこに住んでいるソ連邦の男達、或いは女性達もそうだが、もう耐え難かったという。
その頃のソ連邦には、旅ものでよく行っていた。
ルーズになった分だけ武田先生達は入れるようになったので。
アムール川でチョウザメを釣ったり、そんなバカな企画をやっていた。
それはそれはもうはっきり言って貧しい村だった。
もう今でも忘れないが、チョウザメを釣ってキャビアだけ取って、チョウザメを捨てていたら、周りから人が集まって来て持って帰っていた。
テレビ番組が捨てたものを拾って歩くような人達は山ほどいたし、それにピンマイクを付ける。
日本の音声さんは途中で電池切れなんかを凄く嫌うからある時間が経つと捨ててしまう。
その電池を目指して拾い集める人がいた。
向こうから言わせると(電池残量は)僅かではない。
捨てた電池でさえ、ロシア製の電池よりも遥かに持つ。
それくらい粗悪品が。
やっぱりそれは愕然とするぐらい、ソ連邦がロシアになったらこんな国になったのかと思うぐらいだった。
そこへ、ウラジーミル・プーチンが登場した。−中略−
二〇一七年には支持率が八〇パーセントを上回った。−中略−
混乱を極めたロシアにプーチンが秩序を取り戻したからだ。−中略−
国民一人あたりのGDPの伸び率が−中略−
ロシアでは七〇パーセントに達した(266頁)
だからロシアの人達はやっぱりプーチンに逆らった人を次々暗殺するという、そんなことも「まあ、いいか」と「プーチンだったら」そんなふうに認めるようになってしまった。
そういうふうに言ってもいいのではないか?
二番目は中国。
そしてとても豊かな北朝鮮。
本人がそうおっしゃっているから信じましょうよ。
食糧支援とか失礼ですよ。
私達は何かというとロシアとか中国とか北朝鮮のような生き方はできないので、タイト&ルーズを繰り返しながら生きていきましょう、と。
彼等に対してルーズというのも以外と楽しいし、人間の暮らしの中でルーズは大切なんじゃないかな」という証拠に自分達がなればいいのではないかなと思う。
武田先生も話がだんだん濁って来てグニャグニャしていると思うが、ちょっとそういう本だった。
もの凄く細かいことが書いてあるのだが。
こめんなさい、ミシェルさん。
必死になって読んだ。
武田先生もいい歳コいているのだが、この番組をお聞きの皆さんに新しい視点みたいなものを、何とか「こんな面白い見方がありますよ」というようなことで世界を見られるという、そんなポイントビューを探している。
世界が見える見晴らしのいいところ。
やっぱりそう簡単に世界は見えない。
このへんからグニャグニャしてくる。
そのへんは許していただきたいというふうに思う。
だがどんなに混乱してもタイトとルーズは混じっていないとダメ。
経済学者の人でおっしゃる方がいる。
「中国が経済的にアメリカを抜く」「中国が世界一裕福な国になる」と。
だが、もうちょっと私達素人も疑問をぶつけていいのではないか?
中国が経済的に世界一になる。
そのことを認めてもいいのだが、その世界一というのは今までの「一」の意味と違うような気がする。
武田先生達団塊の世代は、いっぱいアメリカの悪いところを見てきた世代なのだが、一個だけ認めざるを得ないのは、カッコいい。
アメリカ映画の持っているカッコよさというのはいくらでも挙げられる。
様々な映画スターがいる。
だから、反米とは言いながらどこかでアメリカ文化に憧れはある。
中国でその手の映画がない。
つまり、世界一になるということはそういうことで、「あそこに行きたい」とか「あの人、カッコいい」という噂が立たないと世界一にはなれない。
経済だけで一位になんて「それが何だ」という価値観。
それをタイト&ルーズの中に見つけたような気がした。
一生懸命調べてきたが、足りそうにないので無駄話に走りたいと思う。
アメリカ映画の持っているカッコよさというのはいくらでも挙げられる。
自分が大学生の頃に見たスティーブ・マックイーン。
「大脱走」のあのオートバイを乗り回すスティーブ・マックイーンのカッコよさ。

トム・クルーズ。
様々な映画スターがいる。
あそこ(「大脱走」)にもタイト&ルーズの対決がある。
ドイツ軍捕虜収容所の所長達が持っているドイツ系・ナチスが持っているカチッとした文化と、捕虜となった空軍パイロット達のルーズな文化。
その対立。
あの映画はよくできている。
捕虜収容所から脱走するというアメリカ・イギリスの空軍のパイロット達の物語。
彼等が最終的に目指したのは、タイトなナチス・ドイツを我々が脱走することによって混乱させる、貶めるという。
上手くいこうがいくまいが後悔はしない。
つまり、ルールをブチ壊して自分達のルールに従うこと。
その象徴としてスティーブ・マックイーンが出てくる。
これが愉快な男で。
反抗的。
ナチス・ドイツのルールに従わない。
平気で破る。
そうすると狭い独房の中に放り込まれるのだが、孤独に強くて彼は平気。
一人で壁に向かってボールを投げている男。
カッコよかった。
穴を掘って森まで・・・ところが計算間違いで森の数歩手前で穴から出てしまう。
そのことによって脱走するのだが、追撃も早い。
次々捕まってゆく。
それから国境近くまで行ってバスに乗ればスイスに入れるというところまで行ったのに、バス停の真ん前にドイツのゲシュタポがいる。
それでバスに乗ろうとした瞬間、ゲシュタポがその脱走した人物が通り過ぎる時に「Have a good travel」か何か言う。
そうしたら思わず「Thank you」と言ってしまうという。
アメリカ兵だとわかった。
その中で躍動するのがスティーブ・マックイーンで、彼はドイツ兵のオートバイをかっさらってスイスの丘陵にずっと巡らせてある国境の手前のバリケードをバンバン越えてゆく。
それで、結局そのバリケードが飛び越えられずに有刺鉄線に引っ掛かって倒れて銃を突き付けられると認識番号票を出して逮捕される。
そしてまた独房に行ってキャッチボールを始める。
アメリカン魂の不屈。
ルーズであることの力強さ。
それを見せる。
ドイツ兵がその音が嫌でじっと下を向くという。
カッコいい。
タイトを嫌う。
ルーズ。
「それこそリバティなんだ!」というあのスティーブ・マックイーンのブルーの目と存在感。
スティーブ・マックイーンのタバコの吸い方を真似している武田先生。
スティーブ・マックイーンがタバコを吸う時は長い指にタバコを挟んで手のひら全体を唇に当ててタバコを吸う。
武田先生がやると手が小さいわ指は短いわで、頭にプロペラを付けると飛びそうなロボタンみたいで恰好悪いのだが。
だが、スティーブ・マックイーンは凄くカッコよかった。
それでこの間「エルヴィス」を見た。

多分、クイーンの映画が大ヒットしたのでアメリカ映画で「負けるもんか」と作ったのだろう。

エルビス・プレスリーを、その描き方が絶妙で。
少年の頃からエルビスはメンフィスの町に出て、ちょっとした悪ガキというか。
だがママが大好きな男の子で。
どこで遊ぶかといったら黒人街で遊ぶ。
このエルビス少年がその歌声喫茶みたいなところとか、黒人が呑んでいるところとかを尋ね歩くうちに、黒人がお祈りをしている教会に行ってしまう。
そうしたら、武田先生も見たことがあるが、牧師さんで黒人の方が教会に来た黒人の娘達を並べて煽る。
彼女たちが手拍子で「ハレルーヤ!ハレルーヤ!ハレルーヤ!ハレルーヤ!ホホォ〜!」か何かゴスペルを歌う。
それで「イエスがもうすぐ来てくれるんだ!絶望してはいけない!」と呼びかけると信者の人は両手を上げて「絶望しない!」と「ハレルーヤ!ハレルーヤ!」。
もう「ハレルーヤ!」だけ。
黒人の人達。
みんな神懸ってきて体が震えてくる。
エルビスはそれを聞いているうちに自分も震えてくる。
それである日のこと、黒人にいい人がいて教会の中に入れてもらって一緒に踊ってしまう。
そうしたらそのメンフィスの町は小さな田舎町でカントリー大会をやる。
そうしたら「Oh my darling, oh my darling♪」と皆歌っている。

そのカントリー&ウエスタンなので。
それでプレスリーは2〜3人の白人の友達と出て、客の前に初めて立ったものだから上がってしまって歌えない。
そうしたらベースとかが一生懸命煽る。
「いつも通りやろうぜ」とかと言っているうちに、彼がいわゆるロックンロールを歌い出す。
「You ain't nothing but a hound dog♪」
その時に体が震える。
そうしたらもう会場中、女の子がギャー!と叫び出して彼に向かってパンティーが飛んでくる。
この間、BSで見て「いいな」と思ったエルビス・プレスリーの物語。
体を動かす。
それでやっぱり凄く当時は非難轟々浴びている。
タイトなアメリカだった。
ルーズを求めるプレスリーがいて。
プレスリーは黒人音楽の影響を受ける。
だが、言えない。
彼がコンサートをやろうとすると横の球場で白人の集いがあって「もっと差別をしましょう」という運動をやっている。
その声がガンガン響く中で彼がロックンロールをやる。
だがセックスの動きにそっくり。
それから若い娘達が投げつけるパンティーなんかで「もの凄く汚らしいアメリカの青年」というレッテルを貼られる。
そうするとマネージャーがまた知恵者で「いい青年ぶろう」というので「プレスリー、兵隊に行け」。
それで陸軍の歩兵となってドイツまで行く。
髪型もリーゼントをカットして。
そのへんは彼の悲劇なのだが、だが凄く痛快なのは大人の言うことを聞いたプレスリーが帰ってくるとGIカットにした自分のことを「GIブルース」とブルースにして歌う。
そこにまた若い人達が「いいぞいいぞ」と集まってくる。
何回も大人達から叩かれながら、彼は彼のロックンロールを歌い続ける。
それで生のコンサートが難しいので映画にする。
「Viva Las Vegas」とか。

それからハワイの物語なんかがベースで「ブルー・ハワイ」。

ああいうので彼の歌声を聞かせるということで、だんだんプレスリーの名前を揚げてゆく。
それで生のコンサートをやらないうちにマネージャーが飛んできて「イギリスからとんでねぇバカ野郎が出てきた」と言う。
「誰だ?」「ビートルズ」「コイツらがガンガン生で歌ってる」という。
「俺もやんなきゃ!」ということになって、ラスベガスのステージに立つという決心を。
そんなエルビス・プレスリーの葛藤を描きながらエルビスの本音みたいなものを映画が描いてくれて、キング牧師が暗殺される。
もの凄い衝撃を受ける。
人種差別という差別もある。
だからといってアメリカはまとまっていないとは言えないんだ。
これが中国の人が「俺達まとまってるもん。強いもん」ではない。
アメリカというのは分散する力とまとまろうとする力が国内の中に成立している。
その順風とアゲインストの面白さがアメリカにはある。
それでプレスリーの動きをその主演の俳優さん(オースティン・バトラー)が一生懸命やるのだが、もうピーンとくる。
この動きを誰かやっていたなと思い出す。
あの人。
ムーンウォークのマイケル・ジャクソン。
両足のかかとで瞬間的に立ったり、下半身からゆっくり震えて全身が震えてゆくというのはマイケル・ジャクソン。
つまりマイケル・ジャクソンは何になりたかったか?
プレスリーになりたかった。
彼はプレスリーが代表する何かを表現したかった。
マイケル・ジャクソンの奥さんはプレスリーの娘さん(リサ・マリー・プレスリー)。
つまり、プレスリーというのは確かにルーズな若者かも知れないが、あのルーズの中にタイトな精神が宿っているところがアメリカ。
そこが私達がアメリカのポップスとか音楽とか映画とかに関して「カッコいいな」と思っちゃうところではないかと思う。
これは申し訳ない。
本には一切載っていない。
全部はいけないと思うが、とても面白いタイト&ルーズ。
この本の神髄。
アップルのsiriからAアマゾンのアレクサに至るまで、人工知能(AI)アシスタントは−中略−
私たちの暮らしを過ごしやすくしてくれる。(287頁)
二〇一七年、フェイスブック社のAI研究所のエンジニアたちは、AIアシスタントにもっと難しい任務を与えた。交渉せよというのだ。−中略−
自分たちの作ったチャットボットに「ボブ」と「アリス」という名前をつけた。そして交渉の場で交わされそうな数百の架空の会話(英語)を教え込んだ。それからボブとアリスに、いくつかのボールと帽子と本を分け合うという簡単な交渉をさせることにした。(287〜288頁)
このAIというのは今は凄い。
何か企画を出したりするヤツも出てきたが。
もうその手の実験がもう行なわれ始めた。
試行錯誤を重ねた結果、ボブとアリスは交渉戦術を修正したり改善したりできるようになった。(288頁)
この時にこのAIの二台にタイト&ルーズが出てくる。
AIの二つの人格がどんなふうにしてタイト&ルーズを使い分けたか。
これをご披露したいと思うが、なかなか興味深い。
AIが「こういう交渉の仕方がありますよ」というような提案をするというような。
サポーター、アシスタントようなAIを鍛えようとしたワケで。
社会全体のタイト&ルーズのバランスをAIから計算できるならタイトだけ、或いはルーズだけの社会と交渉がもっと簡単にできる可能性がある。
つまり難しい国との交渉事なんかもコイツに入れると何かいい方法を見つけてくれるのかも知れない。
私達がロシアに向かって何かを言う。
中国に向かって何か言う、北朝鮮に向かって何か言う。
文化圏が違うから
タイト&ルーズ
その時にこんなことをすればロシアが中国が北朝鮮が振りむいてくれるかも知れないというのをAIの提案でわかるかも知れない。
「この研究が進むといいな」というふうに思われたのだが、研究開発が進むうちに驚くべきことがボブとアリスに起こった。
何とボブとアリスが命じられてもいないのに勝手に交渉をやる。
気持ち悪い。
二つのチャットボットは自分達のあいだでのみ通じる秘密の暗号を生み出したのだ。(288頁)
人間にわからないようにこっそりAIが話し合っている。
そのことが意味している明確なルールを決め、それに基づいて取るべき行動を模索する時、AIでさえ文化的関係、暗号、記号、両者だけの象徴を勝手に作り出して他者にわからないようにタイト&ルーズのバランスを取ろうとするという。
これは面白い。
だから研究者も何を語り合ったかわからない。
二人は交渉を上手くいかせる為にその言葉が何を意味するのかを絶対に言わないという。
だが、この手のことを国連の一機関がこの機械を導入すれば、世界のあらゆる国と交渉できる何かがAIのサポートでできる可能性はある。
AIの世界。
例えばインターネットは世界を覆っている。
ロシアのプーチンさん、ラブロフ外相、この方々がどんなに声明文を読んだとしても、SNS、インターネット等に上げられる個人の意見の量には全く及ばない。
今、もうその時代。
昔、戦争を指導する人が一言言えばそれで収まっていたのだが、もういろんなところからどんどん発表するものだから政治家の発言のパワーが落ちてきている。
そういう意味で何というか「タイトが世界を支配する」「ルーズが世界を支配する」一極だけでは在り得ない。
これからの世界はタイト&ルーズ
その両方を知っていることが世界を説いてゆく道ではないか?と。
武田先生も何を言っているかよくわからないのだが、凄く面白いことが中国で起こった。
これはこの作家の方、ミシェル・ゲルファンドさんが書いてらっしゃったこと。
中国という国は世相全体を見張っている。
中国共産党の悪口を言ったりなんかするとすぐ消すように。
これは多分人間じゃなくて機械がやったんじゃないかという話なのだが、ご冥福を祈っているが安倍前首相が暗殺された。
これが中国で報道された。
その時に意図的ではないと思うが、そのニュースを知らせる後ろ側の音楽が中国の恋歌だったらしい。
そのタイトルが「あなただったらよかったのに」。
そうしたらAIが(その音楽を)消したらしい。
これはつぶやかれた話。
何かちょっとフェイクっぽくもあるのだがギクリとするような話。
かくのごとくルーズ&タイト
世界で様々、揺れつつ、もつれつつ、お互いにやはり暗号の言葉を持ちましょう。
仲良くするような暗号の言葉を。
そのことがやはりルーズ&タイトの文化を結びつける唯一の方法ではないかと
AIからの提案はそれ。
あまりできのよくなかった回。
自己採点が低い。