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2016年04月06日

成人アスペルガー症候群の認知行動療法

成人アスペルガー症候群の認知行動療法



結論から申しますと、当事者にはあんまり役に立つ内容ではないな。
当事者の家族とか周囲の人にもあまり役には立たないと思う。
専門用語なんかも多いし、医療関係者とかカウンセラーとか、専門職の人がアスペルガーの人に対応するのに役に立つっていう種類の内容かと。

この本の中に何度も「アスペルガー症候群は高学歴の人が多い」みたいなことが書いてあるんだけど、それはどうかな。
外国の人が外国の事例を基に書いているから日本とは状況が違うだろうけど、所詮は「高学歴になれるだけの知能が高めで経済的にも恵まれている」っていう人たちだけが、この先生のセラピーとやらに辿り着けるんだろうなって思った。
経済的にひどい状態だと、そんなもん受けてられないだろうし、ホームレスを調べてみたら結構な割合で発達障害者だったって話があるぐらいだからな。
知能が低いとか、私みたいに全然勉強ができないタイプだと、いろいろ普通の人みたいにやれなくても「バカだから」で片付けられちゃうし、本人もそれで納得しようとするしな。
やっぱり「頭がいい」とか「仕事ができる」のに、周囲とうまくやれないとか日常生活で問題が発生するとかってことになると「何かあるのでは」って話になって、いろいろ調べたり次の段階に進むんだろうなって思う。
実際、私なんて四十過ぎてから自分で気づくまで、医者もカウンセラーも気づいてくれなかったし「気付かれやすい状況に置かれているアスペルガー」とそうでないアスペルガーがあるかな。
特に女のアスペルガーはわかりづらい障害特性の出方の場合も多そうだし。

ある患者は、「人々の集まりに加わるとき、私はいつも皆がすでに知っていて、私だけが知らないゲームをしている部屋に入っていくような気がします。私はそのゲームに参加したいのですが、誰も中断してそのルールが何なのか私に教えてはくれないのです」と言った。(215〜216頁)

うん。
そんな感じだね。
で、ルールがわからないんで教えてくれって言うと「知っているくせにわざとそんなことを言っている」って誤解されて、教えてもらえないだけじゃなく「ひねくれもの」「悪意がある」「反抗的」なんて思われて、余計に状況が悪くなる。
だから、仕方がなくわからないのに「わかったふり」をしている。

私は、ホームワークに関する単純な指示を彼が理解できているものと誤解してしまい、彼が繰り返しそのホームワークを実行することができなかったときにも、それを彼のやる気不足のせいにしていた。学歴や、併存して抱えているメンタルヘルスの問題のために、彼は他者の言うことを理解できないことについて恥ずかしさを感じ、話を繰り返してもらったり、わかりやすく言い直してもらったりするよう人に頼むことができなかった。彼は、話を聴いて理解しているふりをする、という「技術」を身につけていた(352頁)

この人(アンドリューという患者)はもしかしたら本当に「他者の言うことを理解できないことについて恥ずかしさを感じ」てのことだったのかも知れないけど、私は違う理由で頻繁に同じようなことをしている。
私はそれを「恥ずかしい」とは思っていないのだが、先のゲームみたいっていう話と同じで聞いたところでまともな答えが返ってきた試しがないから。
子供の頃に何度もそういう経験を繰り返していく中で「どうやらこれは自分だけがわからなくて、他の人はわかるらしい」と思われることに関しては、無意識のうちに「話を聴いて理解しているふりをする」という技術で乗り切る習慣がついてしまった。

本の中に参考になりそうな本の話なんかも出てくるけど、日本語のは出ていないだろうな。
日本にはない制度的なものとか、巻末のサポート団体のサイトとか、日本人には役には立たないだろう。
ここまで手厚いというか、アスペルガーに対する豊富な知識に基づいたしっかりとしたセラピーとやらは、海外でもまだまだ充実していないんだろうし、日本でこのレベルのものは期待できそうにないと思う。
やってくれているところもあるのかな?
日本では当事者会とSST、バカ高い金のかかるカウンセリングぐらいかな。
大人になってしまっていて療育ってのも全く受ける機会がなかったような私のような人も大勢いるのが現状なので、そういう人たちを対象としたサポートがもうちょっとどうにかなってくれるといいけどねぇ。
あんまり期待はできないよねぇ。

posted by ひと at 10:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 発達障害 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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