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2016年05月10日

病み上がりの夜空に

病み上がりの夜空に [ 矢幡洋 ]
価格:1620円(税込、送料無料)


著者がtwitterでフォローしてくれたか何か(記憶が定かじゃない)で読んでみたワケです。
読んでいてかなりつらくなったけど、読み進まずにはいられない感じで最後まで読んだ。
ノンフィクションらしいのだが、自閉症とはかかわりのない定型発達者がこれを読んでも「大げさ」「とても特殊な話」「自分には無縁な世界」みたいな感じかな。
私は著者の娘である「エリ」に自分を重ねて読んでしまったが。

自閉症とか発達障害を扱った本ってたくさんあるけど、家族から見た内容が詳しく書かれているのってあんまりなかったよね。
本人からの「こう思った」とか「こんなことがあった」っていう内容の本はよくあるけど。
発達障害に限らず「障害を持った子供を育てる」ってのがきれいごとでは済まないってのをつきつけてくれる良書かと思う。

エリは自閉症。
最近よく思うことなのだが、この本を読んでいて改めて痛感したのは「発達障害は本人も周囲も不幸にする」っていうこと。
著者はそういうふうに考えて欲しくないのかも知れないけど。
エリが生まれてからの家族の様子は壮絶なのだが、健常者に生まれてくれば、こんなことにはならなかったのにと思ってしまう。
私は最近「自分の障害のせいで母にはかなり負担をかけていた」っていう事実に気付くようになったが(以前は母に対する恨みばかりだったし、今でも恨んでいるというか許す気は一切ないのだが)この本を読んでその気持ちが強くなった。
偏食や眠れないことは障害特性の問題で私には非はない。
非がなければいいってもんじゃないので、親の負担はそうとうなものだ。
私もそうやって親に負担をかけていたんだろうなと思い知らされる。

発達障害者の事例を多く集めた本って結構「勉強がよくできた」人に偏るのだが、勉強がなかなかできないというタイプ(極度に飽きっぽいというか、落ち着いて勉強をできない様子とかとても自分に重なるし)であることなんかも、私にとっては受け入れやすい内容だったかなと。
これで「異常に勉強だけはできたけど」みたいな話だと、拒絶反応を起こしそう(苦笑)。

最初はこのようにエリにばかり意識が行っていたのだが、だんだんエリの母である奈緒が私の母の姿に重なってくる。
私の母は未診断だがおそらく発達障害だろうし、奈緒とは違って誠実さのかけらもない人なので違う部分の方が多いのだが、不遇な少女時代を過ごして、障害のある子供を産み育てたという共通する部分のある人だから、そう感じたんだろう。
私の母と奈緒の一番の違いは「自分が母からされたことを正当化しているか否か」かな。
私の母は明らかに理不尽な扱いを親から受けているのに、それをすべて「愛情ゆえ」みたいなことにしてしまってるので、私に対して同じことをやって尚且つ、私から「お母さんありがという」みたいなのが返ってこなければ困るという。

私は「療育」というものを受けた経験がないのだが(年代的に私たちはたいがいそうなのだが)、エリはかなり早期から徹底した療育を受けている。
私はなにしろ経験が全くないものだから「療育を受けたヤツはいいなぁ〜」みたいに漠然と考えていたけど、この本を読むと「療育=楽ができる」みたいなもんじゃないんだなということに気付かされる。
親の負担もハンパないが、本人もかなりしんどそうだなと。

エリが今はどういう状態になっているのかはわからないが(twitterでフォローしてんだから直接訊けよと思わないでもないが)本人にとっても親にとっても納得のいく方向に向かっていればいいなと思う。
誰にも私みたいにはなって欲しくない。


posted by ひと at 09:30| Comment(2) | TrackBack(0) | 発達障害 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんにちは。
こちらのブログで知って、気になっていて、この本を読んでみました。
最初の章が読んでいて辛かったので、どうか作り話でありますようにと祈る気持ちで巻末の著者の文章にすっ飛んで読みに行ったけど、できるだけ事実に基づいて、みたいなことが書いてあって、暗澹たる気持ちで読み進めました。でも、ひとさんの、読み進めずにいられない気持ち、すごくわかりました。

奈緒が、エリの姿と同じ年頃だった頃の自分と比較してしまう場面が何度か出てきましたが、私も経験があるので共感しましたが、読みながらそういう行為を客観的に見ると、最初からムリなことをやろうとしているんですよね。自分と子供は別人なんだから、比較したところで何の意味も無いんですよね。わかってるんですけど、苛立ちが抑えきれなくて。
つくづく「この人は自分とは違う」という当然のことを思い知るのでした。

成人してからだったか、「私は○○(私の名前)の一番の友達でいたい」と言った母に「は?何を今さら」と私は内心思い、嫌悪感すら覚えたんですが、自分もそうなるのかと思うと辛いですね。
母と娘の関係って難しいんですね。
Posted by ピーコックデイ at 2016年07月26日 06:15
この方が現在どうされているかはtwitterでも公開されているので知ることができます。
読んでいてつらいぐらいの内容の本でしたが、今でも残酷な現実が続いているのだなと思います。

私も母と娘の関係は難しいなと思います。
どちらか、もしくは両方に障害があったりしたらなおさら。
私も「母のようにはなりたくない」ってずっと思ってきました。
そのせいもあって子供を持つことはなかったですけど、やっぱり無意識のうちに母と同じような言動をしてしまうんだろうなってずっと思っていて、それがとても怖いし、そうなってしまったら自分の子供にも同じ地獄を見せてしまうんだろうなとか、そんなことばかり考えていました。

でも、ピーコックデイさんはちゃんと自覚のようなものができているので、自分の意志で変えていくことはできると思います。
私の母が、おそらく母の母(あるいは更にもっと先祖)からされた因果を私に持ち込んでしまったのは、母には「ひどいことをされた」みたいな自覚がなかったからだなと思っています。
自覚ができないということは、それをどうにかしようっていう方向には行けませんからね。
Posted by ひと at 2016年09月06日 19:47
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