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2017年08月31日

2016年3月27〜4月7日◆タッチ(後編)

これの続きです。

マイスナー小体・パチニ小体・メルケル盤・・・4つある。
(もう一つは「ルフィニ終末」)
それが(皮膚の)深いところとか浅いところにあって物を感じる。
これらの今話した4つのセンサーで人間には絶妙なことができる。
これは他の生き物はできないらしい。
他の生き物が出来ない皮膚感覚の絶妙な技。
手のひらに残されているこのセンサーで一番すごいのはポケットの中から500円玉を選んで引っ張り出せること。
1円玉、5円玉、10円玉、100円玉、500円玉。
それを指でわかるのだから、これはすごいセンサー。
外科医用の手袋を一枚しただけで無くなる。
100円玉と500円玉はギザはかなり難しくなるのではないか。
だからほんのちょっとでも何か遮蔽物があると、もうそのセンサーは壊れる。
セメダインを塗られただけで、もうわからない。
それぐらいやっぱりこの皮膚に埋め込まれたセンサーというのはすごい。
このセンサーから伝わった感覚が脳に向かって「すべすべしている」あるいは「フチがギザギザしている」「これはこれよりも大きい」そんなことを見るがごとくジャッジする。

 ルフィニ終末からの情報を脳がどのように利用しているかは、あまりよく分かっていない。皮膚表面に沿って物体が動くときに皮膚が局所的に引っ張られるため、そうした動きの検出に役立っているのかもしれない。(64頁)

だからストレッチで伸ばしている時「アイタタタ・・・」という。
その「アイタタタ・・・」を言えというセンサーがこのルフィニというセンサー「神経」らしい。
これがなくなったら腕なんか折られちゃう。
「『参った』をする」というセンサーがあるという。

皮膚のネットワークから入った触感は皮膚から脊髄へ、そして脳へ、そして神経細胞へと伝わっていく。
その伝わり方と役割がものすごく複雑。
結論を言うとその後何が書いてあるのかよくわからなかったが、面白くなったのはその次の章で「愛撫のセンサー」。
皮膚から入ってきたセンサーが捉えた情報が神経を伝わって脳に送られるが、脳に送られるスピードが違う。

C線維を伝わる電気信号は遅い。時速3.2キロほどだから、人がぶらぶらと歩く程度だ。これに対してAβ線維の機械受容器からの信号は時速約240キロ、Aα線維の固有受容覚信号は時速約400キロのスピードで伝わる。(99頁)

この皮膚から入ってきた情報がそれぞれスピードが違うのは、その後のジャッジをするため。
物にぶつかって額を打った。
その時に「この痛みが大体何日間ぐらい続くか」と予想する。
しゃがみ込んで「痛テテテテ・・・」と言っているのだが「我慢できないこともないか」とか「これはちょっとマズイな」と思ったり。
それは、それぞれ電気信号に変換された伝わるスピードの違いがそのことを判断させる。
危険を感じる、危機を感じる痛みの時は、その痛みの伝わり方は速い。
ところがうずくというか、熱を持つというか、ゆっくり腫れてくるというか、その感覚が伝わるスピードが変わる。
これは伝わる神経線維が違う。
これは「電線」が違う。
速い痛みを伝える電線と鈍い痛みを伝える電線が違う。

 C繊維は長い間、痛みと温度と炎症の情報だけど伝える神経だと考えられてきた−中略−しかし最近、一部のC繊維がある特別な触覚情報を伝達していることがはっきりしてきた。C触覚繊維と呼ばれるその神経は、人と人との接触に特化した、いわば愛撫のセンサーなのである。
 C触覚繊維の終末は有毛皮膚にしか存在しない。その終末は毛包を取り囲み、毛の動きに反応するようになっている。
(99頁)

このC触覚は学習から最適を学ぶ。
この、撫でられてちょうどいい速さを学ぶと、その触感を強く意識して、男の子はよく分かる。
他人の接触を見ただけで「あ、自分も触れられているような気がする」という。
スピードでそれを自分の体感とするという。
だからそっち系(アダルト系)のDVDが売れたりするのは、このC触覚があるから。
「◯◯の見た?スゲェよあれ」とかっていうのはC触覚のスピードと自分の快感のスピードが一緒だから。
武田先生もやったことがあるが、早送りにしてしまうとあれは何も感じない。
バカにできないのは、その手の愛撫のエロスの触覚でありつつも信頼を築く「絆のセンサー」でもある。
信頼はセクシー。
「その人を信頼する」というその「信頼」というのは「安心感」。
安心感が与えられない限り、信頼の絆というのは生まれないワケだから。
どちらかというとエロスの匂いがしないと。
このC触覚の中枢である脳の部位は実に複雑。
これは快感と感じるというのは大変。
様々な脳の領域か関与していて、これが全部燃えないと快感に感じない。
快感というのは脳の支配によるもの。
だから恋の愛撫「彼がそーっと肩を撫でてくれた」というのと、ケンカの時に「ドーンと肩をぶつけた」というこすりあいでは全く違う。
自分が「快」を与えているつもりでも相手にとっては「痛み」となる。
そういうのが触覚センサーの宿命。
そういうので女の人にいっぱいフられてきた武田先生。
「ゴメン、許して」「あーん!もう痛い!」とか。
よく覚えているのはフォークソングでホシカワという先輩がいた。
人柄のよい人。
その先輩の恋人は一つ年上の女性だったが、23歳ぐらいの女性。
可愛らしい人。
ニックネームが「おかあちゃん」。
この二人が仲がいい。
何かの拍子に「どこがいいんですか?」と訊いた。
ホシカワ先輩はガタイはいいが、そんなにカッコイイ人でもなかったので。
歌う歌は岡林(信康)の『山谷ブルース』ばかり。
ガテン系の歌が多い方で、フォークギターで。
そうしたらその「おかあちゃん」という子がしみじみと「うどんを食べてる顔が可愛いの」と言った。
「うどんを食べてる顔が可愛い?そんなもんでこの人はあの先輩の恋人になったのか」と思うと。
「ツルツルツルって食べるの」と言われて。
それでホシカワ先輩とその恋人と数人でデパートのイベントだったので地下でうどんを食べた。
武田先生がうどんを食べた瞬間「武田くん、きたなーい!」と言われた。
先輩もツルツルと結構ツユを飛ばして。
でも武田先生だけ「きたなーい、武田くん」。
その時に「同じじゃん」と思った。
「何か」が違う。
その「何か」というのは女性の方が敏感である。

触覚の他にも様々、人間には感覚がある。
例えばこの本の中でこんな面白いマンガが紹介してあった。
四コマ漫画。

(タイトルは『臭うチーズ』)
若い男女が車に乗っている。
女性は買い物袋を抱えている。
そんな時、男性がちょっと警戒したような険しい表情でつぶやく。
「ここ、なんか臭くない?」
そうすると女は買い物袋の中を覗いて嗅ぐ仕草。
そしてポツリと「さっき買ったチーズよ」。
そうすると男は「あ、そうか。それなら」と納得した後、安心した様子で女性に語りかける。
「なんだか美味しそうな匂いがするね」

これはあること。
最初はすごく警戒して「臭い」と言って、それが気にいって買ったチーズだと分かった瞬間から「美味しそう」になるという。
面白いもの。

「性の触覚」つまり「性感」は、神経終末の分布はほぼすべての男女で同じ。
性にまつわる触れられることへの感性、それは神経全部同じ。
違いがない。
ところがこれを快とするか不快とするかは個人による。
なぜそんなに個人差があるのかはまだわかっていない。
とにかく性的なものというのは脳の中の様々な領域が同時に発火、真っ赤に燃え上がること。

生殖器への刺激を続けると、恐怖に関連する情動信号を処理する扁桃体の活動が低下する。この現象は生殖器への刺激が、恐怖の減少とその結果としての潜在的脅威に対する警戒の消失に関連することを示すと解釈されている。(142頁)

性的に興奮すると不安を感じる能力がぐっと落ちていって、慎重な判断を下す領域がオフになる。
(本の内容とは若干解釈が異なるようだが)
運動なんかもそうだが、カーッと燃える時、スポーツ選手はすごい。
ラクビ―でも骨折しながら走ったりする。
あれはやっぱり「慎重な判断を下す領域」のスイッチが切られてしまうのだろう。
とにかく「同時多発」。
そうすることによって性的な快感が得られるという。

「味覚と触覚のまじりあい」という奇妙な感覚もある。
世界中のほとんどの人がいろいろ触覚に関しては感覚が違うが、面白いことに味覚とあいまったもの、例えば唐辛子を「熱く」ミントを「冷たい」と表現するという。

クールなミント、ホットなチリという比喩は、人間に生まれつき生物学的に備わったものであると思われる。
 ミントの主な有効成分はメントールという物質だ。トウガラシの方は、カプサイシンという化学物質である。
(149頁)

なぜか冷たさを感知できる神経群はこのメントールに反応する。
だから本当に冷たいワケじゃなくて、冷たい時に活性化する神経を励ます。
それからカプサイシンの場合は熱は全然ないが「辛さを熱と感じる」ということがある。
これは人間の進化ではなくて、植物が身を守るためにそうした。
全部喰われちゃうと嫌だから、人間が嫌がるカプサイシンをいっぱい食べて、喰われることを防ごうとしたのが唐辛子の側の事情。

トウガラシという植物と鳥類とは、進化の過程で、ある種のデタントに達したようだ。哺乳類は種を食べると臼歯ですりつぶしてしまいがちだが、鳥には臼歯がなく、種子の大半はそのまま消化器官を通り抜ける。鳥が糞をすると、これまでとは違う場所に発芽可能な種子を播いていくことになる。(152頁)

(番組内ではミントに関しても鳥との間には同様の関係があると言っているが、本にはそういう内容はない)

無痛症。
痛みを感知できない遺伝病があり、どこから飛び降りても痛くない。
骨折しても痛くない。
これは何よりも恐ろしくて、だいたい十代でお亡くなりになる。
そうやって考えると「痛みがある」というのは身の安全のためには大事なこと。
だからちょっと痛むところがあったりしても、これはやっぱり「長生きするための一つのセンサーである」というふうに思いましょう。
「痛み」というのは絶妙なもので、この「痛み」を感じると、また「感情」も一緒に燃え上がる。
何で感情が燃え上がるかというと、痛みを判断しなければならないからで、痛みは種類によって「この痛みは安全のうちにあるか、それとも危ない痛みなのか」「この痛みは予想通りなのか、それとも意外な痛みなのか」「ずっと痛むのか、わりと早めに収まるのか」そういうことも痛みの感覚、痛みの伝わり方で人はジャッジする。
更に痛みは脳記憶として結びつく。
それがPTSD「心の痛み」みたいなものもちゃんと記憶されてしまう。

 治療がとくに難しい慢性痛に、幻肢痛と呼ばれるものがある。手や足を切断した人の約6割が、失った手足が痛むような慢性痛を経験するのだ。(189頁)

それとは逆にピアノやバイオリンの演奏者というのは脳を経由しないで「手が勝手に動く」という触覚の技術に入ることがあるという。
これも一種の触覚の見せる奇跡。

「慢性の痛みがあるのに、どうして慢性の快感がないのだろう」。(188頁)

それは快感よりも痛みの方が生き残るためには重大なセンサー。

「痛みと脳がいかに結びついているか」のものすごい実例。

 イラク戦争中の2003年4月13日、アメリカ陸軍実戦部隊の衛生兵ドウェイン・ターナーは、バグダッドの南50キロほどの暫定作戦基地で少人数の舞台とともに補給品の荷下ろしをしていたときに、敵襲を受けた。(190〜191頁)

 ターナーの右足と太ももと腹には手榴弾の破片が刺さっていたが、動きは鈍ることはなく、何度もクルマの陰から飛び出しては、倒れた仲間を安全な場所まで引きずった。その間、2度撃たれ、1回は左足に弾が当たり、1回は右腕の骨が折れた。だがダーナ―は撃たれたことにはほとんど気づかなかったという。(191頁)

 ターナーはそのうち出血で倒れてしまうが、−中略−ターナーの働きがなければ少なくとも12人の命がこの場で失われていたと考えられ(192頁)

このターナー衛生兵は衛生兵をやっていたために「他の兵士を救わねば」という脳の方の意思の力が強くて、感じる痛みを全部遮断していたのではないか。
どんな激痛でさえも、脳はそれを遮断する力を持っている。
痛みについては大きく心がジャッジしている。
痛みと感情、特にネガティブな感情は深く絡み合う。

被験者にコンピューター上でバーチャルなキャッチボール・ゲームをしてもらい、参加メンバーから外すといった軽度の社会的排斥でさえ、背側前帯状皮質と島皮質後部の活動を引き起こす。(204頁)

だから、そんなささやかなことでも心は痛む。

切り替えが遅い方で、ちょっとクヨクヨ、ウジウジする武田先生。
「そういう言い方しなくてもいいじゃないか」とか何か。
人の言い方をグズグズ考え込むが、ちょっと最近よくなってきた。

「痒みとは小さな痛みだ」と言われていた。
ところが、著者によるとやっぱり「痛み」と「痒み」は違う。
この痒みに関するものは、まだ今はもう少し研究が必要。
これさえはっきりすれば、もう少し神経伝達物質やニューロンのことが分かれば、アトピーに対する対策ができるのだが、これができない。
「小さな痛みだ」ということでアトピーをやっつけようとしたら、全然効かなかった。
アトピー対策のために今、必死らしい。

 ヘロインやオキシコドンなどオピオイド(アヘン様物質)が強い痒みの発作を引き起こすことはよく知られている。(217頁)

以前、元中毒患者の人と話をした時に「痒み」とおっしゃっていた。
その痒みが「手のひらに虫が乗ってる」というあの幻覚と来る。

鎮痛薬としてオピオイド(モルヒネなど)を使った患者の80%は痒みを経験する。(217頁)

「痛み」と似ているが「痒み」には独特の個性、特徴がある。
実験でも分かる通りだが「痒みは伝染する」。
痛みは伝染することはないが、痒みは伝染する。
それが証拠に、イラストでもいいし、フィルムの写真でもいいが、虫、ダニ、ノミを見ると100人中何人かは必ず掻きはじめたり、手のひらを撫でたりする。
この「伝染する」という能力が痒みには強力にあるということ。
痛みも痒みも、それ相応に心の問題で、だから人間にとっては重大な感覚。

posted by ひと at 11:41| Comment(0) | 武田鉄矢・今朝の三枚おろし | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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