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2017年09月28日

ハートネットTV 自閉症アバターの世界 第2夜 仮想と現実を生きる(2019年10月25日修正)

ハートネットTV 自閉症アバターの世界 第2夜 仮想と現実を生きる(当時のリンクが切れていたので、全文か全文じゃないのかは不明ですが公式の放送内容のページのリンクを貼っておきます)
昨日の夜に放送していたヤツ。
「見逃した!」という方は再放送が10月4日(水)です。
第1夜 脳内への旅はこちら。

これも後から公式の方に「番組まるごとテキスト」ってが掲載されると思うので全文は紹介しません。
今回もセカンドライフの中の人たちに会いに行く内容で。

インターネット上のバーチャル空間セカンドライフ。
ここにとあるコミュニティが存在する。
メンバーは自閉症の人たちだ。
仮想空間を通じて自閉症者の研究を続けている社会学者池上英子教授。
自身も代理の自己アバターを操り10年にわたって対話を重ねてきた。
現実世界ではさまざまな困難を抱える自閉症者。
しかしここでは生き生きと自分を表現し彼らの世界を教えてくれる。
池上「同じものを見ていても、私と同じように見ているとは限らないという格別の楽しさがあります」


同じように見ることができないことに苦痛しか感じないけどな。
違って見えているから正直にそう言っているだけなのに「わざとひねくれて言っているんだろう」とか叩かれまくってきたからな。

仮想空間は自閉症者にとってどのような存在なのか。
深く知るため池上さんは現実世界でアバターたちを訪ねる旅に出た。


ニューヨーク
毎週水曜日、自閉症グループの定例会の日だ。
我々(NHKのスタッフ)は池上さんを通じて彼らに取材を申し込んだ。
早速バーチャルの世界へ入りアバターとして定例会に参加する。
ここは障害者のグループが建設した街の一角にある会議室だ。
20名ほどのメンバーが意外なほどフレンドリーに取材に応じてくれた。


人間みたいな姿のアバタ―もいれば、動物みたいなものとか、動物と人間の合体みたいなものとか。

池上「自閉スペクトラム症の方の場合にはシナリオだとかルールがきちんと決まっているとまだディスカッションができるけれどもフリーディスカッションはそんなに易しくはないと言われているんですが、このチャットの世界では皆さんすごく議論がかみ合ったり、それからそこで共感があったりサポートがあったりして、とてもいいディスカッションをなさってます。」

障害特性がピンキリだから全員がって話じゃないけど、私は耳から音声で聞いた言葉から内容を理解するのってかなり難しい。
短期記憶が死んでいるから一瞬で相手が言っている内容も自分がちょっと前に話した内容も消滅することもちょいちょいあるので、会話の途中で「え〜と・・・何だっけ?」ってなっているけど、それを相手に気づかれないようにごまかしつつ会話を進めている。
すげぇ疲れる。
文字として表示されると、そういう困難さが解消されるので、私にとっては非常にとっつきやすいものとなる。
定型発達者と対面で会話をする時、単に言語だけでなくノンバーバルな部分による「暗黙の了解」「空気」といった要素が多すぎて、私たちにとっては決して参加しやすいものではない。

緑色の羽にキツネの顔を持つマラカイ(本名・マティス)。
人間と動物を交ぜた不思議な姿はひときわ目立つ。
「自閉症は克服されるべきものではない」と話すマラカイ。
本人に会うためカリフォルニア州砂漠の街エルセントロへ向かった。
この日の気温は46度。
この街の夏はこれが当たり前だという。
グループに一緒に参加していた恋人のジェニーと出迎えてくれた。
15歳の時、自閉症と診断されたマラカイ。
バイセクシュアルでもある自分に、父はつらくあたったという。
行き場を失ったマラカイは2年前、ジェニーの住むこの街へやって来た。
家を出る時に大切に持ってきたのは幼い頃から一緒にいるというぬいぐるみだ。
マラカイはアバターの着せ替えセットを10以上持っている。
そのほとんどが空想上の生き物だ。
彼らはぬいぐるみと同じく自分を受け入れてくれる存在。
アバターになる事で自分もファンタジーの世界の中に入り込んでいく。
マラカイ「自分も話せる動物になった気がするんです。僕のぬいぐるみたちのように。セカンドライフに参加した理由の一つはなりたい自分になれること。社会に強要された自分ではなく。コンピューターを起動させ、そこに参加するといつも誰かがいる。耳を傾け、助けようとしてくれる人たちが。」


恋人がいて、うまいことやってんのにどうしてこの人にセカンドライフが必要なんだろう?って思ったけど、現実の世界の自分は自分にとって何か違和感があるってことなのかな。
本当の自分はセカンドライフの中にいるっていう。
私も現実の世界の自分に違和感がないワケじゃないけど(定型発達者にも、やっぱりそういう感覚ってあるんじゃないかと思うけど)多分私はネットの中に「本当の自分」みたいなものを見出すことができないんだろうな。
セカンドライフの中に「耳を傾け、助けようとしてくれる人たち」がいくらいても私は救われない。
話を聞いて欲しいワケでも、優しい言葉をかけて欲しいワケでもないから。
そういうことをして欲しいと思うこともあるんだけど、私はそれでは救われない。
物理的な援助をしてくれる人を常に渇望しているので、ネットなんかいくらやったって解決しない。

現実世界とどう折り合っていくのか。
それは自閉症アバターたちの間で長年話し合われてきたテーマだ。
中でもフクロウのコーラは鋭い洞察力でその方法を探ろうとしている。
賢く的確な意見でアバターたちからの信頼を集めているコーラ。
私たちは本人の住むアーカンソー州リトルロックへ向かった。
コーラは夫と2人で暮らしていた。
部屋に入るとコーラは次々と話し始めた。
現実世界でのコーラは、仮想空間とは対照的に自分の言葉をコントロールする事が難しいようだ。
コーラ「私はしっかり考えず何かを口に出してしまうんです。脳のその部分と独立して機能してしまうんです。」
池上「感情的なプレッシャーを感じるとしゃべりすぎる?」
コーラ「ええ。私が学ぼうとしていることの一つが感情に負荷がかかった時のコントロールです。怒りというか・・・とても感情的になってしまうのです。」
コーラが正式に自閉症の診断を受けたのは29歳の時。
幼い頃からIQが飛び抜けて高く両親はそのせいで変わっているのだと思っていたという。
実際には自閉症特有の音光触覚など多くの感覚過敏がある。


IQが高いタイプの発達障害者は、そのあたりの感情のコントロールみたいなことも器用にやれるのかな?って何となく思ってたけど、そういうものでもないのか。
発達障害はIQでかなりの部分がカバーできるみたいに思っていた。
発達障害でなおかつIQも低めだとかなりつらい感じに見えていたから。
この人の場合は私と同じで自閉度が高いのかな。
私は「感情のコントロールがうまい」とかではなく、多分、この人たちみたいな激しい感情自体がないんだろうと思うけど。

周囲からの過剰な刺激が原因でパニックを起こさないようにするため日常生活ではさまざまな工夫をしている。
入力したテキストを読み上げてくれる意思伝達アプリ。
店での注文には必ずこれを使う。

文字をスマートフォンに入力すると、入力した文字が音声として再生される。
店員にそれを聞かせるコーラ。
初めて行く場所や人の多い場所ではパニックを起こしやすいため特に注意が必要だ。
それでもコーラは好奇心が旺盛で、さまざまな場所へ出かける。


いつも身につけているシリコン製の首飾り(緊張緩和おしゃぶり「チュウイー」)。
しゃぶる事で気持ちを落ち着ける。
これは周囲の香りで混乱した時に嗅ぐミントスティック。
ほかにもコーラはたくさんのアイテムを22のポケットに入れて常に持ち運んでいる。
駐車許可証
ハードディスク
緊急時用の傘
日常で困った経験を積み重ね、1つずつアイテムを増やしてきた。


こういう自分での工夫はとても重要だと思う。
実名は挙げないが、発達障害の某タレントさんが飛行機の中で赤ん坊の泣き声がうるさいって大騒ぎをしたけど「自分は聴覚過敏がある」「飛行機内ではそういった騒音の発生が予想される」という状況に対して事前にイヤーマフを用意するなどの「準備」って可能だったのでは?と思うのだ。
子供にイヤーマフをさせているのを見た定型発達者が「あんな小さい子供に音楽を聞かせているなんて」って非難したとかって話も最近あったけど、そういう的外れな非難をするクソみたいな健常者が間違っているのであって、こちらがそんなクソに対して譲歩しなければならない理由はない。

インタビュアー「意思伝達アプリなしでは注文は難しい?」
コーラー「ええ。紙に書くか違う形でタイプしなくてはダメです。」
インタビュアー「セカンドライフでは問題なく会話したりコメントしたりしていますよね?このアプリも同じようなもの?」
コーラー「そうです。タイプができるという点で。何が言いたいかをしっかり考えて計画を立てることができるし、長時間聞き続けるより読む方が私には楽ですから。」


「わかるぅ〜」って感じだな。
普通の人はどんな感じなのか私には全くわからないけど、紙に書くとかパソコンで入力するってことと、音として声を発するってのとでは全然違うんだよね。
実際にあったことだけど、紙に自分の住所を問題なく書ける。
覚えてるからね。
でも、電話で「住所を言ってください」って言われて言えなかったんだよね。
「記憶している」「紙に書くことができる」「音で伝えることができる」は全部イコールではない。
右へ行くほど難易度が高い。

コーラにとって仮想空間は自分を知り、人とのコミュニケーションを学ぶツールだ。
コーラ「セカンドライフは現実よりも多くの人々に私をさらしてくれました。違った見解を持つ人や、付き合いにくい人との交流は難しい事です。政治や宗教やモラルに賛同できない人たちともうまく付き合う方法を私たちは探し出し、お互いを不愉快にさせない事柄について会話するのです。」
夫とはインターネット上で知り合い結婚10年目。
出会った頃よりも随分コミュニケーション力が進歩したという。


確かに私たちにとっては現実の世界はハードルが高い。
意志の疎通が難しい。
ネット上での交流はとても難しい「現実の世界」と交流する前段階として確かに有効なのは理解できる。
そこで他人との交流の仕方に慣れておいてから、現実の世界と対峙する方がやりやすいってのもわかる。
その、現実の世界よりも難易度の低い「ネット上の世界」ですら「もう無理!」ってなって逃げだした私が言うことではないけれども。

コーラ「彼(夫)の顔が間近に来た時でも目をそらさないことを学ばなければなりませんでした。」
夫「キスする時、顔を近づけ見つめると彼女はうつむいてしまうんです。お互いを知るにつれて彼女はそれをしなくなりました。」


うるせぇ。
電気けして部屋ん中、真っ暗にしてやれや!

コーラ「感じる事と理解する事、そして反応する事は全部違うものです。中にはそれら全部を速くできる人もいます。しかし中にはうまく出来ない人たちもいます。それはとても複雑だから。感じているけれどそれが何なのか分からない。それを説明することができないんです。」
池上「時々『自閉症を受け入れて欲しい』とも言っていますね?」
コーラ「自閉症を何か異質なものと思わないことです。というか、これは私の一部です。複雑ですが、でも双方向的な関係なのです。両者ともに皆が自分の役割を果たさなくてはならないのです。」


定型発達者の中には(というか健常者はたいがいそうだろうけど)発達障害者と接する時に「障害のないその人」みたいなものを妄想するというか想定するというか、そういうことがよくある。
そんなものは存在しないのに。
私たちから障害を切り離すことなんかできないのに。

自閉症は自分の個性だというコーラ。
仮想空間でも繰り返しアバターたちに伝えている。
仮想空間にある彼らの居場所。
その創設者に会いに行く事にした。
アリス(アバタ―の中ではジェントル・ヘロン)は自閉症をはじめとした現実社会でさまざまな障害のある人たちを仮想空間の中で導いてきた。
自身も徐々に体の神経が失われていく難病があり、足を思うように動かす事ができない。
アリスが作ったのは障害者グループ「バーチャル・アビリティ」。
ここでアリスはカリスマとあがめられている。
アリスが目指すのは障害者の才能を現実世界にも広める事。
障害者のアートを世界中の人に発信したり障害者と医師などの専門家が集う国際会議も主催する。
毎年60人ものアバターが集まり最新の情報を共有。
現実と仮想。
障害者とそうでない人。
アリスはその境界を壊そうとしている。
長年障害者の教師をしてきたアリス。
現役を引退し障害者保険の期限も切れた。
年々症状は進行。
今は娘の介助を受けながら暮らし、活動の中心を仮想空間に移している。
アリス「私は『現実の世界』という表現はしません。私にとっては『物質世界』なのです。そしてコンピューターの世界も『バーチャル』と呼んでいますが、現実と同じくらいリアルです。セカンドライフで私たち(アリスと池上)が会話する時、まるで今のように隣にいるみたいですよね。障害者(people with disability)はこのコミュニティでは能力(ability)に満ち、“dis”は関係ないのです。少なくともバーチャルの環境においては、我々の能力を発揮することができます。それが、私たちがここにいる理由なのです。」


能力のない人は?
それは障害者であるかないかに関係なく。
何か優れた特質とか得意分野とかそういったものを持たない人たちは?

池上「自閉スペクトラム症の方たちは、私たちと同じ風景を見ていても、同じように見えている、同じように感じているとは限らないんですね。それは神経構造が違うせいもあるし、文化のようなものができているわけですね。20世紀というのは『多文化の時代』と言われていていろんな文化だとかジェンダーだとか、文化にはそれぞれ価値があると発見した時代だと思うんですよね。だけどこれからは、今まで発見してきた多文化だけではなく、神経構造が違うと言われて違うように発達してきたそういう人たちの多様なインテリジェンス、多様な感じ方・見方っていうのを深く考えなきゃいけないんじゃないかなと思ってます。」

posted by ひと at 08:46| Comment(0) | 発達障害 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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