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2017年10月23日

2017年5月15〜26日◆ニワトリII(前編)

これの続きです。

ニワトリ 人類を変えた大いなる鳥



ニワトリという鳥がいる。
これは野生種から人間が「家禽」と言って家畜化した。
その歴史。
一番最初、ニワトリは間違いなく食用ではない。
これは「時を報せる」という「朝日に関してすごく敏感である」と。
ちょっと「神秘的な力」。
そういう個性を人間に愛されて、神話の鳥として人間の歴史の中に登場する。
ピラミッドにはニワトリのレリーフがある。
ピラミッドを作るときの作業開始ベル代わりにニワトリが使われていたらしい。
それからヨーロッパに渡っても勇猛に闘う雄鶏というのは強さのシンボルになる。
だからフランスに雄鶏マークのスポーツウェアがある。

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フランスにおいては、あれは「強い」というイメージ。
あれは「チャンピオン」とか、強いというイメージがあの国にはある。
また、ヨーロッパ全体もそういう意味でニワトリのその強さを愛した。
これがアメリカに行くとひっくり返る。
「チキン」も最大の侮辱の言葉。
アメリカではなぜ臆病者のことをチキンと言うのか?

話を巻き戻し、17〜18世紀に話を戻す。
その頃ヨーロッパ、特にイギリスでは観賞用のニワトリということでビクトリア女王が無闇にニワトリを愛したという。
ところがアイルランドで起きたジャガイモの不作で、大量の移民が喰うや喰わずで新大陸アメリカに渡って行く。
アメリカにはピューリタン(清教徒)たちがアメリカを開発していくが、アフリカから黒人の方々を奴隷として連れてきて、その巨大なプランテーションの作業をやらせるという。
そこにアイルランドの人たちと黒人の人たちが住むようになる。
アイルランドの人たちは細々とニワトリを飼い始める。
何でかと言ったら七面鳥は高くて喰えない。
それまでのヨーロッパの肉と言えばシカ肉、羊、豚、七面鳥、ハト、ウズラ、アヒル。
これがヨーロッパにおけるいわゆる「動物性タンパク質」の種類。
ニワトリは入っていない。
それがアイルランド人たちがアメリカに渡って七面鳥を食べられない。
それで彼らは一年間大事に育てたニワトリをクリスマスに食べ始めた。
それでそれを見ていた黒人たちが「これは俺たち、お金も持ってない奴隷の俺たちにはピッタリだ」ということでアイリッシュ系の人たちとそれから黒人奴隷の人たちがニワトリを食べていた。
そしで毎朝産んでくれる卵をありがたく拝借していた。
ニワトリは近くの虫や草を食べて大きくなるので便利がいい。
お金がかからない。
それでニワトリの肉というのがアメリカの南部に定着していく。
アイリッシュ系の人たち、黒人奴隷の人たち、それからユダヤ系の移民がニワトリを飼っていたので、いわゆる社会の下層の人たちなので、上の人たちがニワトリを喰う彼らをバカにするがごとくシンボルにした。

伝染性の強い「ニワトリ熱」がイギリスからニューイングランドへ飛び火した。(266頁)

愛玩用ニワトリ。

一八五四年二月に史上初の全国的な家禽展示会を主催し−中略−
二月一三日付の『ニューヨーク・タイムズ』は報じた。展示会の賞金として五〇〇ドルを提供した──現在の価値で言えば一万三五〇〇ドル相当
(267頁)

1855年、ニワトリのバブルがはじけるとニワトリは黒人、アイルランドの人、ユダヤ人たちが中心だが、食料としてアメリカ全土に浸透していく。
これはアメリカ人はこの辺を昔は工夫していた。
孵卵器を発明した。
「卵温め器」はアメリカで始まった。
(本にはアメリカ発とは書いていない)
母鳥の体温で温め続けないと孵らないのだが、この孵卵器で維持するとものすごく短期間のうちにヒヨコに孵すことができる。
(多分、孵卵器を使ってもすごく短期間で孵化はしないと思うのだが、本には母鶏が卵を温める期間が取られてしまうと新しい卵を産む時間が減るということが書かれているので、そのあたりから思い違いをしたものか)

一八八〇年にはアメリカ国内で一億羽のニワトリが五五億個の卵を産み、一億五〇〇〇ドル相当の価値を生み出していた。一〇年後、二億八〇〇〇万羽以上のニワトリが一〇〇億個の卵を産み(274頁)

近大養鶏業というのが立ち興った。
ところが、ニワトリというのは非常に見下されていたものだから、ニワトリ自身が人種差別のシンボルとなってしまった。
ニワトリの呼び名。
雄鶏「コック(cock)」。
雌鳥は「ヘン(hen)」。
アメリカでは雄、コックと言わず「ルースター(rooster)」と言う。
生意気なことを「コッキー(cocky)」と言う。
「怖気づいてる」は「チキンアウト(chicken out)」。
(番組では「チキン」と言っているが本によると「チキンアウト」)
それから「尻に敷かれている」は「ヘンペッド(hen pecked)」。
「雌鶏からケツをつつかれる」という意味で「恐妻家」ということになる。
英語の中で「コック」は汚い言葉。
言ってはいけない言葉で、特に女の子は。
日本語でわかりやすく言うと「ポコチン」という意味。
「ポコチン」の正規の汚い言い方がある。
それと同じ響き。
これはニワトリの雄鶏のことなのだが、そんなふうに使われたものだから、言葉には罪はないが汚い言葉No.1になってしまった。
ニワトリというのはものすごく変わった性生活をしている。

このヴィクトリア女王から始まったニワトリバブルの1800年代半ば、科学の対象としたのがダーウィン。
ダーウィンはニワトリにすごく興味を持った。
それからカール・リンネ。
いろんな生物を分けちゃった人。

 リンネの動物界では、ニワトリは脊索動物門に分類されている。−中略−その下の分類では鳥綱で、一万種に及ぶいわゆる鳥類がここに集められている。その下はキジ目で、七面鳥など空中よりも地面を好む、比較的重たい種が多数含まれている。その下はキジ科で、キジとヤマウズラとウズラとクジャクがすべてひとまとめにされている。どれも脚に蹴爪があり、ずんぐりとした体つきで、首が短いという特徴を共有しているからだ。(179頁)

そのニワトリなのだが、実は歴史が非常に不思議で「ヤケイ」野生のニワトリというところから進化しているのだが、そのニワトリが人間が飼うニワトリにどうやってなったかに関して実はまだ謎。

名古屋コーチン
博多の「はかた地どり」
四国の「阿波尾鶏(あわおどり)」
宮崎の「地頭鶏(じとっこ)」
それでニワトリというのはそんなふうにして「地ごとで生まれたんじゃないか?」という考え方があったのだが、ダーウィンという例の進化論のあの人が「ニワトリってもしかしたら各地各地で産まれたんじゃなくて、ニワトリっていう種類で一本筋が通っていて、それが各地の雌雄と混ぜ合わせるうちに新種ができた」という。
最初にニワトリという筋があって、各地の地鶏が生まれたんじゃないかっていう仮説を立てたのだが「原種のニワトリ」というのが見つからないので、この説はずっと疑われ続けた。
「ニワトリには原種はいないんじゃないか」「土地土地で交雑を繰り返しながら生まれた種類なんじゃないの?」というような。

「生殖器」というのは環境に適応しない。
つまり性的な特徴というのは、掛け合わせてもそう簡単に変わらない。

雄鶏にはペニスがないのだ。というよりも、正確に言えば、なくしてしまった。(203頁)

だから雄鶏雌鶏の交尾はキスと同じ。
その性の特徴をきちんと最初の原種も持っているはずだというのでニワトリのルーツを探すという大捜索が今世紀になってから始まった。

今上天皇の次男である秋篠宮は幼いころからニワトリに魅せられていた。祖母にあたる香淳皇后が第二位次世界大戦の直後、皇室の食卓の足しになればとニワトリを飼い始めていたのだ。東南アジアで野外研究をしたのち、秋篠宮らの研究チームはセキショクヤケイのミトコンドリアDNAの断片を抽出した。−中略−
 研究チームが一九九四年に出した結論は、ニワトリの家畜化が起きたのは一度きりで、場所はタイだというものだった。この研究結果に基づいて秋篠宮は博士論文を書き、八年後には別のグループの研究による裏付けも得られたのだが、それから二〇年後、この説はほころび始めた。アメリカの生態学者I・レア・ブリスビンによると、この研究で野生種として使われたセキショクヤケイはバンコクの動物園のもので、家畜化された雑種だったらしい。
(198頁)

日本の皇族のインタビューを手配するのは難しいため、直接に話を聞くことはできなかったが(199頁)

 二〇〇六年、中国科学院昆明動物研究所の劉益平率いる研究チームが、セキショクヤケイとニワトリの大いぼなサンプルのミトコンドリアDNAに九つの分岐群──すなわち、共通の祖先に由来するグループ──を発見した。この分岐群の分布から、家畜化は一度だけでなく複数回起きていることが示唆された。中国南部、東南アジア、インド亜大陸の古代人たちは、それぞれセキショクヤケイを飼育して、独自の遺伝子シグネスチャーを持つ別々の系統を作り出したというのが彼らの主張だった。(198頁)

今、この二つの説「一か所から出てきた鳥」「多方面から出てきた鳥」というので論争が続いている。

 雄鶏にはコックがない。(203頁)

タマキンが無い。
何故消えたのか?
ならば彼らはどう子作り、有精卵、卵を作り出しているのか?

ニワトリの場合──すべての鳥類、爬虫類、両生類と同様に──総排泄腔は尿路と消化管が合流した一車線の終点で、さらに生殖に関する機能も果たしている。人間の男性と同じように雄鶏には精巣が二個あるが、体の外にぶら下がっているわけではなく、内臓として腎臓の下にしまい込まれている。健康な雄鶏は一回の射精で八〇億個以上の精子を出すことが可能で、雄鶏と雌鶏がそれぞれ総排泄腔を反転させて押し付け合ったときに、雌鶏の体内に精子が送り込まれる。わずか数秒間の出来事だ。卵管に入り込んだ精子は、交尾から一カ月も生き続けて、一個だけの卵巣の中の卵子を受精させることができる。(204頁)

でも謎は「なぜニワトリはペニスを捨てたか?」。

 鳥類のうちの数種、主に水鳥は、ペニスをちゃんと持っている。たとえば、アヒルは長いらせん状のペニスを持っているのだ。(204頁)

アヒルのペニスはキュッキュッキュッシュポン!みたいな感じでねじ込む。
だからもう頭さえ入ればキリキリ回転させて入れてくるという。

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雄のアヒルは非協力的な相手に交尾を無理強いすることで有名で、その最中に相手を溺死させてしまうときもあるほどだ。(205頁)

雌の悲劇を避けようとしたのがどうもニワトリらしくて、ペニスを無くすことで短い時間でパッと強い精子を送り込むこと。
これはやっぱり一つの手段。

卵に小さな窓を開けて雄のアヒルとニワトリの胚を観察してみると、どちらも受精後九日目まではペニスが発達し始めていたが、ニワトリのほうはそこでペニスの成長が止まり、原始器官はしなびてしまった。九日目にニワトリの胚は、将来のペニスを先端からしなびさせる原因となるたんぱく質を作り始めていた。(204頁)

アポトーシス。
「自然死」。
細胞でも何でも老廃物として死んでいくようになっている。
新旧を繰り返している。
毎日生まれ変わる。
だからアナタは本当は新装開店になって全部総入れ替えしている。
それが順調にいっているから気づかないだけで「自然死する」というシステムを細胞が持っている。
その細胞がたまたま「死ぬ」ということを忘れちゃって頑張って生き続けるのが癌。
癌というのは往生際の悪い細胞のこと。
そういう滅びのスイッチを細胞はちゃんと持っている。
ニワトリは胚の段階で「もうペニスはいーらない!」と言ってオチンチンが消えて無くなって。
更に面白いのはヒヨコの段階でくちばしの中に歯も生えてくる。
「僕らは突っついて生きていくも〜ん」というので歯を消してしまう。
どうやらニワトリは殺し合うようなセックスのたかぶりよりも、雄雌の協力がなければ受精しないキッスのような性交を選んだ。
そしてさらにはくちばしで突っついて生きていこうということで歯も消してしまうという。

ニワトリにまつわるアメリカンジョーク。

一九二〇年代に米国のカルヴィン・クーリッジ大統領夫妻が別々にある養鶏場を視察したとき、夫人は一羽の雄鶏がせっせと交尾に励んでいるのに目を留めた。毎日何十回もおこなうという説明を聞くと、「大統領がいらしたら、それを伝えてあげてちょうだい」と冷ややかな口調で言った。伝言を聞いた大統領は、その雄鶏は毎回同じ雌鶏と交尾をするのかと尋ねた。違うという答えが返ってきた。雄鶏はいろいろな相手との交尾を好むのだという。「それをうちの奥方に伝えてやってくれ」と大統領は応じた。(207〜208頁)

「蛇口」のことは「コック(cock)」。
だからアメリカ人は絶対に言わない。
ゴルフの時も手首のことを「コック」というが、アメリカ人は絶対に使わない。
「ポコチン」と言っているのと同じだから。
「ちょっとポコチン(コック)ひねって水持って来て」とかって誤解しそう。

ゴキブリを意味する「cockroaches」でさえ、ただの「roaches」に変えられた。(207頁)

一時期金欲しさに「ゴキブリにはコックローチ!」といったCMに出演していた武田先生。
大声でハワイのスタッフの前で叫んでいた。



ブタ(ピッグ)とウシ(カウ)は肉になると呼び名がポークとビーフに変わるのに対して、チキンはニワトリと鶏肉の両方を意味する言葉なのだが、現在では肉を指すことのほうが多い。(302頁)

「ポコチンを消しちゃう」とか「口の中には実は歯があるのだがそれも消しちゃう」とか、
最近すごく面白い研究がおこなわれている。
その「消す」というボタンが遺伝子の中にある。
それを消してしまう。
まだ完璧にはできていないが、その「消す」ボタンを消してしまうとニワトリはどんな生き物になるか?
骨格を見たらものすごく納得するが、恐竜になる。
ティラノサウルス。
ジュラシックパークで一番凶暴だったヤツ。
あれと同じ骨組み。

ジュラシック・パーク (吹替版)



ニワトリの蹴り爪はすごい。
肉を引き裂くための爪だから、ものすごく鋭い。
そうやって考えるとニワトリはスイッチを消し忘れると恐竜になる可能性があるというところが面白い。

 アサラはT・レックスのアミノ酸配列のうちおよそ半ダースがニワトリのものと完全に一致することを突き止めた。彼とシュワイツァーは六八〇〇万年前の軟組織を分離した−中略−世界最古のタンパク質を確認し、それが現代のニワトリのタンパク質と同じだとわかったと主張したのだ。二〇〇七年に『サイエンス』誌に発表された彼らの論文によって(218頁)

posted by ひと at 10:13| Comment(0) | 武田鉄矢・今朝の三枚おろし | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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