さて、まな板の上には「老害」が乗っている。
「ロウガイ」と言っても血を吐いたりなんかする「労咳」ではなくて、昨今流行の言葉だと思うが、老いたる人の害。
その「老害」を三枚におろそうかなと思って。
武田先生の机の上には三冊ばかりの老いに関する書物があった。
どんな書物かご紹介しましょう。
まずは和田秀樹さん。
大変人気のあるお医者様。
とても乱暴な断定的な医学的立場を取られているのだが、ビシバシいくという和田秀樹さんの「老害の壁」。
そんな壁か知りたくなる。
それから小川有里さんの小説。
タイトルがドキッとする。
「死んでしまえば最愛の人」。
何かいい。
そしてもう一冊が藤井英子さんの「ほどよく忘れて生きていく」。
もう一冊あるのだが、それは後半の方でご紹介する。
(冒頭からこのあたりまでポッドキャストと本放送ではかなり内容が異なる。冒頭部分が本放送では訂正の為に長くなった分の尺合わせかと思われる)
この三冊「老い」「老い」「老い」が並んでいて、どう考えても人生日々を繋いでいくと最後は老いに辿り着くワケで、味気ない言い方だが老いとは人生の出口、exitで、誰にでもやってくるのだが、そのワリにはあまり歓迎されないという。
特に出口に溜まっている武田先生達世代、団塊の世代なんかはまだ出口から遠い真ん中ぐらいの人達から「老害」と言われる。
若い方々には老いた人間というのが非常にうっとうしいというように感じられるのだろう。
ついこの間もこんなことがあった。
国会議員のとある老大物さんがおられて、この方がウンダコンダあって「次の選挙は出ません」と宣言なさった時に、若いと思われる記者さんの方から「年齢のこと考えて出ないのですか?」と年のことを言われた老政治家、カチーン!ときたようで「オマエもいつか年を取るんだ!バカヤロウ!」。
本当に頭にきたのだろう。
もの凄く怒っておられた。
激高おさまらず「バカヤロウ!」と怒鳴っておられた。
(85歳二階俊博氏「ばかやろう」年齢に関する質問した記者にすごむ 裏金問題で久々表舞台の皮肉 - 社会 : 日刊スポーツ)
「それが老いに対する態度か!」と叱りつけたかったのだろうがしかし、老政治家の方、落ち着いて考えて下さい。
令和。
武田先生もテレビ業界の中ではもう「老害」と言われていて。
老害の部類に入るらしい。
「いつまで先生風吹かせてるんだ」という。
もう何とでもおっしゃってください。
かまいません。
最近の特に若いタレントさんはバラエティーに出ていて思うが、もの凄く嫌う。
感じる。
「我々の頃は視聴率20(%)いかないと『来週ちょっと考えますわ』みたいな、そんな時代あったんですよ」っていう。
今はもうカウントの仕方が違うので何ともいえないが、武田先生達はそういう意味ではもの凄く厳密に視聴率で値打ちを測られた世代なのだが、令和のタレントさんから「そういう昔の視聴率のことなんか言ったりなんかするのは、それ老害ですよ」と言われた。
昔話をしただけで、そんなかな?と思う水谷譲。
水谷譲の世代も「ソフト老害」と言われている。
この「老害」を三枚におろしていきましょう。
武田先生の見解だが「老いた」ということに関しては意味がある。
よくよく考えれば老いには元手がかかっている。
どんな元手か?
歳月が老いにはかかっている。
70歳、80歳の人間ができあがるまでには、当然70年から80年かかるワケで。
製作期間と製作費を考えると、どの老人も安物のドラマには負けないぐらいのドラマチックな人生がそこにあったハズ。
更に申し上げましょう。
世界にはたくさんの問題があるが、この世界が抱えた問題の半分くらいが老害問題。
紛争を起こしている国の政治家は、もう老害の年齢。
ズバリ言うと、秋口、アメリカ大統領選挙もある意味では老害紛争という。
そういう感じで言うと「老害」というのは日本だけの問題ではなくて、国際的な問題で。
「老いというものをちゃんと調べないとまずいんじゃあないの?」という。
なかなかスケールが大きくなる。
手始めに手を付けた本が和田秀樹さん。
エクスナレッジという出版社から出ている「老害の壁」。
は和田先生というのはもの凄く人気があって滅茶苦茶本が売れている。
今、番組をご一緒している水谷譲。
(恋せよ!オトナ オトナ世代応援ラジオ)
ことごとく売れている。
本はもう900冊ぐらい出されている。
凄い数を出されている。
この和田先生曰くだが、老いに対して人間はどう身構えるか?
「いいんだよ。好きなことやりゃあいんだ」
それがこの和田先生の老いのテーマで。
医療に対しても文句を言うところが痛快。
同じ医療仲間の和田先生が「医者なんていうのは大変なストレスで、だいたいみんな若死にするヤツが多いから、そんなヤツが長寿の指導ができるワケがないじゃないか」という。
もの凄くわかりやすい。
和田先生はいろんなところでバッサバッサ切っているのだが、その中でもパンデミックのことを医者の言葉をワイドショーが大声で叫んだばっかりに、「外に年寄りは出歩くな」と言って、そのことによって老化が進んで何人の老人が死んだか反省しろ!というのが。
まずはとにかく老いの問題だが、明日から早速この和田先生のご意見から伺っていこうと思う。
高齢になると筋肉量が減って運動機能が低下します。これをサルコペニア(加齢性筋肉減弱減少)といいますが、−中略−運動しなければサルコペニアがどんどん進行し、ほとんど歩けなくなるフレイル(虚弱)の状態に陥ります。
2020年、新型コロナウイルスの感染対策の名の下に、外出自粛が要請されました。−中略−これまたワイドショーが、「高齢者が出歩くのは危険」と煽った結果、ほとんどの高齢者は外出自粛の要請におとなしく従いました。その結果、サルコペニアやフレイルになる高齢者が急増しているようなのです。(「老害の壁」15〜16頁)
その責任は誰が取るんだ?
和田先生は烈火の如く怒っておられる。
これは数字は出ていないと思う水谷譲。
武田先生もハッとしたのだが、ニュースメディアの言い方は余りにも高齢者に対して一方的過ぎる。
話を免許返納に戻すと、−中略−ワイドショーで高齢者に街頭インタビューをしていましたが、−中略−
なんとその場所が東京の巣鴨だったのです。巣鴨は「おばあちゃんの原宿」と呼ばれる場所ですから、高齢者が多いのは確かです。しかし、巣鴨にはJRの駅がありますし、東京のど真ん中に住む高齢者で運転免許を持っている人は少ないでしょう。どうして車しか移動手段がない地方の高齢者にインタビューしないのでしょうか。(「老害の壁」16〜17頁)
これはわかる。
「そんなところに行って何でインタビューするんだ。免許が必要か必要じゃないかは別の番組『ポツンと一軒家』の主に聞いてこい、という。
「その人に向かって『危ないですよ。免許返納した方がいいです』。オマエ言えるか?」という。
このあたりは凄い説得力がある。
車が無かったら移動できないワケだから。
和田先生も「インタビューするのが面倒臭いから爺さんと婆さんがいっぱいいる町に行ってるだけだろ」と烈火の如く怒っておられる。
もの凄く面白い統計を出しておられる。
「令和3年の交通事故状況」によると、原付以上の免許をもっている人口10万人あたりの年齢別事故件数では、もっとも事故を起こしているのが16〜19歳の1043.6件(「老害の壁」17頁)
75〜79歳が390.7人となっています。続く70〜74歳は336.0人で(「老害の壁」18頁)
十万人あたりで年齢別で見ると最も少ないのは70歳から74歳前後。
(本には30〜34歳が329.1人とあるので、最も少ないということではないようだ)
これを和田先生は「数字を挙げてちゃんと追及しろよ」と言う。
ここから武田先生は和田先生を気に入ってしまった。
「ドライバーは70代が一番事故を起こさない世代として歓迎できる」と言いつつ、この人は2018年に公開されたがクリント・イーストウッド「運び屋」を挙げてらっしゃる。
これは武田先生は見ていたので、話が和田先生とビッタビッタ合う。
『ダーティーハリー』シリーズなどで有名なハリウッド映画界の名優にして、映画監督でもあるクリント・イーストウッドをご存知ですか。彼が監督と主演を務めた2018年の『運び屋』という映画があります。18年当時、イーストウッドは88歳、彼が演ずる映画の主人公は90歳という設定でした。
家族と疎遠になった老人が麻薬の運び屋になってしまうというストーリーですが(「老害の壁」19頁)
メキシコとアメリカの往復。
最初に見た時は嫌で。
「ダーティーハリー」であのダンディなイーストウッドがメキシコ系マフィアの若造に小突き回される。
そのイーストウッドが「コカインの運び屋になる」というとんでもない物語だが、映画を見て行くうちにさすがにイーストウッド。
もの凄い説得力がある。
というのは、アメリカの国道を走っている。
どこかのドライブインでイーストウッドは車を止める。
後ろのトランクにコカイン。
それを運んでいる。
当然、爺さん一人にさせない。
メキシコのメキシコマフィアが車で追いかけてくる。
監視している。
ドライブインで休んでいたら、オートバイのお巡りさんが、メキシコ人を見た瞬間「手を上げろ!」と。
そう。
前の大統領が「壁作ろう」と言うような人だから。
アメリカの道をメキシコ人が走っているだけでパトカーが追いかけてくる。
「おい!手を降ろすな!撃つぞ」
本当に撃ちそう。
それにイーストウッドが割って入る。
「待ってください。今、私、引っ越しやってて、手伝ってくれるバイトの男達なんです。勘弁してやってくださいよ。ああ・・・私のことを疑われちゃいけない。ほら、免許証持ってますから」という。
そうするとドライバーのライセンスを見ると年齢がわかる。
そうしたらもう白バイのおじさんが「いやいや、あなたには関係ないから」と言う。
その時にイーストウッドが一芝居打って「あ、まずは私のトランク見てくださいよ」と言いながら開けて見せる。
コカインが山ほど入っている。
その上に孫娘に買ったポップコーンの紙バケツがある。
それを一個お巡りさんに押し付けて「買い過ぎたんだ。どうぞ仲間と楽しんでください」と言ったらお巡りさんが「もういいですいいです。もう見せなくて。ハイハイ閉めちゃって。ハイハイお爺さん、ありがとう、ありがとう」と言いながらポップコーンを抱えてオートバイで去っていく。
ここにアメリカ特有のライセンスの意味合いがあって、高齢で免許を持っているということは社会的に凄く安定した人生を過ごしているという証明書でもある。
和田先生は絶賛なさっている。
身分の証明をするのにこれほど便利な証明書があるか。
高齢でまだ運転をやっているというのは元気な証拠じゃないか?
このあたりから老害問題入っていきましょう。
時々「ダーティーハリー」も見る。
ダーティハリーはセリフがカッコいい。
武田先生は「運び屋」というのを見ながら、一回でいいからあんな役をやりたい。
「運び屋」というのは90歳近い爺ちゃんがメキシコギャングのボスのお気に入りになる。
コカインを運ぶ名人になってしまって、もの凄い利益をもたらしたというのでボスの家に呼ばれて。
ボスの家に行くと、ボスも爺さんなのだが半裸の娘達がプールサイドで遊んでいるパーティーに招かれて。
そこで若いメキシコの姉ちゃんのお尻とか見て楽しむのだが、彼の目はずっとボスの子分達を見ていて、自分を一番小突き回すメキシコの下っ端の青年に向かってボソッとつぶやく。
「こんな商売、ずっとやっていちゃダメだ」
クリント・イーストウッドの演じるアールという老人は、ボスの子分達を見ながら「裏切りが発生するんじゃないか」ということをどこかに、そのヤクザ組織がどんなに仁義に満ち溢れていた行動をとっても。
案の定、後ろから撃った若衆頭がいて、映画が急展開していくという。
もうこれから先はネタバレになってしまうので話さないが。
一番最高にまたもの凄く鮮やかなシーンがあるが、それはどうぞご覧になってください。
日本では決して成立しない老人映画。
アメリカはこういう老人映画を作るのが上手い。
免許返納した爺さんが隣の州に住んでいる兄ちゃんが病気で倒れてしまう。
もう会いに行く術がない。
鉄道とか無いから。
それで小さな耕運機(実際には芝刈り機らしい)で兄ちゃん目指して道を真っ直ぐ行くという「ストレイト・ストーリー」という。
それから取った。
「まっすぐの唄」という金八先生の主題歌はこの映画を見て作った。
大草原の一本道を、爺ちゃん一人を乗せた耕運機がずっと走っていく。
凄くよかった。
そういう老人映画を作るのが上手い。
老人なので「その手の映画が一本できないかな」と夢見る武田先生。
話はすっかり横道に逸れてしまった。
でも今日はここから更に脱線する。
アメリカは老人映画は得意なのだが、日本は老人童話が得意で。
「花咲かじいさん」「こぶとりじいさん」他にも「〇〇じいさん」はたくさんいる。
じいさんばっかり。
「桃太郎」もじいさん。
「金太郎」もじいさん?
日本の童話は70%が主役は老人。
こんな国は世界にはない。
「かさじぞう」を筆頭にして、婆さん爺さんが主役。
だからかつての日本はおとぎ話の主人公は爺さんと婆さんだった。
桃太郎、金太郎、かぐや姫を育てたのは爺さんと婆さんで、若い夫婦ではない。
そうやって考えると老人の物語を今、作れなくなっているというのは少しパワーダウンしているのではないか?
和田先生は簡単に若者に主役の座を譲ってしまうお年寄りを激しく叱っておられる。
「老人の静けさに甘えようなんて、そんな老人じゃイカンよ」
イギリスの研究によると、1週間に5〜10杯のアルコール飲料を飲むと、寿命が最大6カ月短くなる可能性があると報告しています。(「老害の壁」32頁)
タバコもそうだ。
一週間にだいたい1箱以上開ける人はだいたい6か月ぐらい寿命が縮む。
(という話は本には無い)
しかし、6カ月寿命を延ばすためにお酒をやめる必要はあるのでしょうか。これもタバコと同じで、飲まないとストレスを感じるなら飲んでよいと思います。これは自分の快を優先させるべきでしょう。(「老害の壁」32頁)
「一杯だけ飲んで眠ろう」いいじゃないかそれで。
「庭だったらばタバコを一本だけ吸おう」いいじゃないかそれで、という。
それから「若い娘の裸に興味がある」。
だったら「週刊大衆」を買えばいいじゃないか。
「(これぞ人生!)三枚おろし」というエッセーが載っているのでぜひご贔屓に。
これはまたお医者さんらしくて面白い。
若い娘の水気が多く膨らみの多い体はホルモンが支配している。
これはエストロゲンというホルモンが満ちている。
水谷譲なんかもエストロゲンが・・・今はどんどん無くなっていっている。
女性と話したいという欲求は、男性ホルモン(テストステロン)を増やします。逆に、男性ホルモンが減ってくると、筋肉がつきにくくなり、サルコペニアやフレイルになるリスクが高まります。−中略−
男性ホルモンを減らさないために、セクシャルな写真を見ることも効果があります。(「老害の壁」34頁)
男性ホルモン、女性ホルモン、共に体の中に湧いてできるもので、これは男女というものを意識する性的な興味みたいなものがスイッチを押す。
別に相手が若い女性でなくても、もちろん熟女ではいいのではないかと思う水谷譲。
「そんなふうにして『性の情動』みたいなものがアナタの体の中でホルモンのスイッチを押しますから若い女性に興味があったら見ればいいじゃないですか」
「雀のお宿」なんて援助交際みたいな日本昔話もありますよ、というようなもので。
「援助交際」という(表現は)やめた方がいいと思う水谷譲。
好きになったり」「興味持ったり」というのはいいが。
「押し活」はいい。
女性の体の変化というものは当然年を取るとおきる。
男性もそうだが男性の方が惰性で男で生きている。
一般に女性は閉経後に男性ホルモンが増えることがわかっていて、その影響で社交的になっていく人もいます。(「老害の壁」35頁)
決断力が増したり、友情を大事にしたりという。
そういうのがある。
男性はというと逆に女性の部分が花開いてゆくという。
武田先生なんかもそう思う。
だんだん自分がおばさんぽくなっていくのを。
和田先生は厳しく指摘する。
年金生活者は年金のほかに2000万円の貯金が必要だと言われるようになりました。(「老害の壁」36頁)
そんな言い方で意味があるのか?
日本はバブル経済が弾けてから、30年以上もデフレ不況で、賃金も上がらない状況が続いていますが、いまだ不況を脱却できる見通しが立ちません。(「老害の壁」36頁)
例えば、保育園の待機児童が3634人(2021年)なのに対し、特別養護老人ホームの入居待機者数は約29.2万人(2019年)もいます。(「老害の壁」43頁)
よくシルバー民主主義のせいで、若い人や子どものの政策が手薄になっているという批判がありますが、そんなことはありません。(「老害の壁」43頁)
今や全国のあちこちに歩道橋がありますが、高齢者にとって歩道橋の階段を上がるのは大変なことです。(「老害の壁」44頁)
これは歩行障害などを抱えている高齢者に対し、「街を歩くな」と言っているのに等しいと思います。(「老害の壁」44頁)
日本の都市はイスがほとんどないので、歩き疲れた高齢者が、座って休むことができません。(「老害の壁」49〜50頁)
東京駅なんか石段のところに座っておわれる外国人旅行者の方を見かけるが「もうちょっとベンチとか椅子とか作った方がいいんじゃ無ぇかなぁ」と思ったりする。
年寄りをないがしろにしてパワーダウンしてるんだ、ということ。
日本ではコレステロールが悪者のように思われています。−中略−簡単に言うとコレステロール値が高いと、−中略−心筋梗塞や脳梗塞を起こしやすくなるとされています。(「老害の壁」57頁)
和田先生は「バランスだ」とおっしゃっている。
確かに心筋梗塞とか脳梗塞にコレステロール値が高いというのはまずいのだが、病気にもなっていないのに「コレステロール値は下げておこう」というのが逆にサプリが体に毒だったというような結果を招いたんじゃないか?という
このへんは武田先生もよくわからないが、和田先生がおっしゃっているのはただひたすら「バランスだ」と。
それを厳しく厳しく言っておられる。
この和田先生の物言いの中で一番ホッとできるのは、人間の健康というバランスの中に援助交際ではない「押し活」とかスケベ心とかそういうのも健康のバランスの中に入ってますよ、という。
これは「なるほどなぁ」と今、思う。
塩分のとりすぎもよくないと言われます。(「老害の壁」62頁)
「でもそれもまたバランスで塩分控えてりゃいいっていうものじゃないよ」
このへんは頷く。
必ず我々の仲間には「サプリ命」みたいな人がいる。
サプリばっかり飲んでいる人がいる。
「ウコン飲んどきゃ大丈夫だって」という。
そんな万能薬じゃあるまいし、一番二日酔いにいいのは「飲み過ぎないこと」。
そういうこと。
これは最初の方に言っておくべきことで。
和田先生というのは非常に断言の多い方で、でも言っておくが武田先生より年若。
武田先生の方が高齢者。
まだ和田先生は60代。
この方の発言というのは、本を読む時にいつも思うのだが、「良薬口に苦し」みたいなところがあって、和田先生の発言をお話するには用法・容量を間違えると危険なことがあるので。
「ラーメン食べなさい」「ウナギどんどん食べなさい」「お肉どんどん食べなさい」みたいな感じだから。
ただ、食べてはまずい人もいる。
武田先生の奥様が昔、言っていたのだが「これさえ食べときゃ大丈夫なんて、そんな食べ物が世の中にあるハズなんか無いよ」。
何かしがみつく。
自分の身になって考えるのだが「健康というのはとっても難しいもんですよ」という。
それは情動、気持ちの動き方なんかもそうなんです、と。
人生「年を取ったらかくあるべし」という人生のまとめ方はしない方がいいです。
人に重大なことだと思うのだが、年を取ってから性格が変わる人はおられて。
良くも悪くも。
でも和田先生の場合は悪くも悪くもだが。
年をとってから、言い方がより激しくなるという人はいます。これは「性格の先鋭化」と言って、元々持っている性格が強くなることを言います。年をとると、この性格の先鋭化が起こりやすいのです。
性格の先鋭化が起こると、例えば、がんこな性格の人はよりがんこになり、疑り深い人はより疑り深くなります。
原因は脳の前頭葉という部位の萎縮です。(「老害の壁」74頁)
年を取ってからワリと短気になったりイライラしたりというような方がおられたら、これは前頭葉の萎縮等々の前兆かも知れないので、しっかり脳の方、MRI等々で。
今は簡単に調べられるので調べてください。
あの方の怒りの顔が残っていて。
新聞記者の方の加齢を指摘する質問に対して二階さんという大物政治家の方が「オマエは年を取るんだ!バカヤロウ!」と怒っておられた。
あの怒りの顔が切なくもあった。
若い頃はあの人は渋い二枚目。
年を取ったらどこか体がいつも震えているようなお爺様になられたが。
我々が二階さんに期待したのはもっといい気の利いた反論。
これが聞きたかった。
でも言っておくが二階さんの年齢を見たらクリント・イーストウッドより三歳も若い。
それにしては(二階さんは)お爺ちゃんっぽい感じがする水谷譲。
何かいろいろご苦労があったのだろう。
日本のメディアの特徴だが、「老害」というのを指摘しておいて高齢者をやっつけるというのが好きなパターンで。
その他にも麻生さん、森さん、こういう人達を矢継ぎ早に上げて。
その三人の名前は必ず上がる。
日本では高齢者に対してははっきり言ってある差別がある。
EU(欧州連合)の国々やアメリカ、あるいはお隣の韓国にも、年齢差別禁止法があります。(「老害の壁」79頁)
クリント・イーストウッドの「ダーティハリー」。
この人のセリフが「運び屋」もそうだが「カッコイイなぁ」と思う時があるのだが、一番わかりやすい例でご説明しましょう。
何が武田先生はうっとりする。
ダーティハリーの三作目か四作目。
新人の女刑事を従えて悪と対決する。
その時の悪は爆弾犯。
そいつらを追いかけ回すダーティハリーなのだが、悪を探す時には悪人に居場所を訊くという彼の方程式があって、どうも臭う犯人がいて、その犯人の現在を知っているのは闇の組織に生きる黒人。
その黒人達は街のダウンタウンか何かに巣喰っている。
それを若い女刑事を連れて一緒に探しに行く。
それでダーティーハリーは向こうの黒人のボスともズバズバやり合う。
それで「そいつの居場所を教えてくれないとなったら、明日にでも警官を連れてきて」と言って悪いヤツを脅す。
その手際の鮮やかさが、その悪党のボスが凄く気に入ってしまって「なあ、アンタほどの切れもんが、何でしょうもないポリ公なんかやってるんだ?」
誘う。
「俺と一緒に別の悪さしねぇか?」という。
そうしたらダーティハリーが帰りながら「何でポリスやってるかって?教えてやってもいいけど、笑うだろう」と言いながら去ってゆく。
これは感動する。
彼は正義の為にお巡りさんをやっている。
「正義の為にやってる」と答えたらオマエ笑うだろう?
感動しない水谷譲。
そういうセリフの切れ味がいい。
何か二階さんにはその手の一言を返していただきたかった。
洒落ている感じの。
例えばたった一言「年齢でおやめになるんですか?今度の選挙」とかと訊いたら「さぁどうだろう?若いアナタでは想像もつかない別の答えが私にはありますよ」という。
怒らないで笑顔で言うとかというのが洒落ていると思う水谷譲。
麻生さんは洒落たことを言うのだが、失言も多い。
結局最後は「バカヤロウ!」になってしまうというワケで。
その他にも諸々、和田先生からのがあって、そのへんはまた、来週ということにする。
とりあえず年齢というものに関するある差別「加齢よってアナタは辞めるんですね?」というのは質問自体が西洋社会では許されない。
差別用語になるので。
そういう意味では、日本では平気でそういう言葉が飛び交うというのは一つ考えなければならない点だというふうに思う。
この続き、また来週じっくりやりたいと思う。
「老害」三枚におろしましょう。