カテゴリ

2025年07月05日

2025年3月31日〜4月10日◆眼高手低(後編)

これの続きです。

二年前に読んだ本だがいい内容だった。
「妄想する頭 思考する手」というタイトルで暦本純一博士、東大大学院の教授。
コンピューターの開発を行ってらっしゃる方。
祥伝社から出ていた。
この方がスマートスキンというか指を広げたり縮めたりすると拡大、それから縮小が簡単にできる、あの原理を考えた方であって。
この方が「眼高手低」「眼差しを高く上げ、手をせっせと動かす」ということで次なる発明で考えておられるのが「白杖」。
視覚障害がある方の白い杖をデバイス、端末としてスマートフォンが持っている地図アプリを連動させて、それから振動機能があるので、最初に地図アプリの方に目的地を打ち込んで白杖を握る。
曲がるところになると小さく震えるとか、そういう工夫で目的地まで白杖が地図を覚えて引っ張っていくという。
これを今、開発中。
その一部がもう車に活かされていて、昨今、武田先生の車であるトヨタ車だが、白線をちょっと踏んだりするとハンドルが震える。
それから救急車が来ると知らせる。
チャイムが鳴る。
「救急車接近中」という。
このあたりが最近の車は本当にコンピューターだらけということ。

ここからもっと面白いことを考える。
便利がいいと思った
その、右に曲がるところ、角まで来たらちゃんと白杖がスマートフォンの地図アプリと連動していて、震えるとかというの。
これは凄いと思うのだが、ここからこの人はもっと凄いことを考えている。

非線形な振動によって引っ張られるような感覚が生じること自体は昔から研究されていた。(144頁)

これは道案内にも使える。単に振動するだけでなく、正しい方向に引っ張らせることができるのだから、よりリアルな「誘導」ともいえるだろう。(146頁)

この人はまず娯楽を考えるのだろう。

「仮想」の力を生み出せるとなると、エンターテインメントにも応用可能だ。たとえばアスリートが感じている力を再現できるかもしれないし、CGキャラの身体感覚を疑似体験することもできるだろう。(146頁)

この人が考えたのはバットを握る。
それで仮想現実でもいいのだが、とにかくボールを投げる。
その人が振る。
その時のバットの手ごたえがホームラン。
それは凄く娯楽性を帯びる。
そういえば画面ゲームを、ゴルフでもやり始めた。
世界のトッププロをスクリーンに向かってボールを打たせる。
それでテレビゲームとしてのゴルフをプロ選手にやってもらうという。
そういう仮想現実の、これはあくまでもエンターテインメントだが、こういうのはやはり「面白いな」と思う。

暦本さんは新しい発想をお持ちなのだが

新しいアイデアは、何も無いところから突如として出現するわけではない。そのほとんどは、「既知」の組み合わせだ。その組み合わせが新しいから、「未知」のアイデアになる。(86頁)

プリンターは何枚もの紙を連続してプリントするので、一枚のプリントが済んだことを感知する仕組みがないと、次のプリントを始められない。また、紙が詰まって動かなくなったら、作業を止めてエラーシグナルを出す必要もある。(147〜148頁)

これはいちいち「いちま〜い、にま〜い、さんま〜い」と番町皿屋敷みたいに機械が数を数えていた。
それが故障が多い。
引っかかったりすると「さんま〜い、さんま〜い、さんま〜い」になってしまう。

紙送りセンサーとして使われているのは、じつは低画質の「カメラ」だ。機械の中で移動する紙の様子を、毎秒一〇〇〇回ぐらいのスピードで撮影している。それによって、紙送りが終わったことや止まったことを感知するわけだ。(148頁)

つまり「シンプルじゃないとダメですよ」という。
これは紙送りセンサーというのがあって、コピー機のデバイス、端末としてたちまち誕生したという。

 HMDは、VRのディスプレイとして頭に装着するデバイスのことだ。テレビやパソコンやスマホなどで動画を見るのとは違い、周囲のリアルな風景をシャットアウトできるので、バーチャルな臨場感が得られる。
 その臨場感をさらに高めるには、できるだけ見える範囲、つまり視野を広げたい。
(152頁)

HMDの視野を広げるときに、全面を同じ解像度にする必要はない。周辺視野の映像は少しボヤけていても、リアリティが失われることはないだろう。(153頁)

つまり無駄な努力はしないというのがイノベーション発明の基本的な考え方だそうだ。

Netflixでホラーサスペンス系を見ることが多い水谷譲。
タイムマシンものと宇宙旅行ものをよく見る武田先生。
昨日見たのが「ライフ」だったか

ライフ [DVD]



火星で拾った生命体が宇宙ステーションの中で暴れ出して。
真田(広之)君も・・・
まあむなしい物語。
言ってしまうとまずいか。
ラストは「ちょっとどうするんだろう?」と思う水谷譲。
ドキドキさせるというヤツ。
あんなのを見ていて思うが、アメリカのハリウッドに於ける、あの手のいわゆるSF映画の作り方を見ると圧倒される。
仮想現実の無重力の宇宙ステーションを見せてくれる。
あれが本物にしか見えない。
ああいうのを見ているとハリウッドの持っているSFを作る力というのは凄い。
「スター・ウォーズ」だって昔は結構チンケなヤツがあった。
今は浮かぶスクーターとかというのも「バック・トゥ・ザ・フューチャー」なんかも明らかにあのブルーバックでやったという淡い仕掛けのラインが見えた。
今はもう全く無いという。
ゴジラを見てもそう。
あの「ゴジラ-1.0」

『ゴジラ-1.0』 豪華版 4K Ultra HD Blu-ray 同梱4枚組 [Blu-ray]



「シン・ゴジラ」もそうだが「まあ凄いもんだな」という。

シン・ゴジラ



何でそんなことを喋ったかというと、この本の暦本純一さんがおっしゃっている「妄想」というのが人間の能力にとって大事な感覚。
妄想の最大のものが人間の拡張で。
人間は走れないが、車という拡張機に乗ると最高では200キロ近いスピードで。
SFで言うとガンダムの頭の中に入ってしまうと、自分の手足同然になるワケで拡張する。
暦本さんは「これなんだ。人間の夢は」。

私が研究している「ヒューマン・コンピュータ・インタラクション」という分野は人間と機械を「つなぐ」のがテーマだが、−中略−機械を自らの中に取り込むことによって、「人間」という概念がこれまでよりも広がる。それが、私の抱いている妄想の土台である「人間拡張−中略−」だ。(〜頁)

AIと人体の融合、あるいはChatGPTなどもそうで、今、考えてみると人間の能力の拡張である。
検索する。
何でもよく出てくる。
自分の忘れたことだって記録に取ってあるワケで、「もの凄い発明だなぁ」と思う。

「顕微鏡は視覚の拡張である。他の感覚器官、たとえば聴覚・嗅覚・味覚・触覚なども、将来の発明で拡張されるだろう」(170頁)

 さらに妄想を広げれば、人間の「脳」そのものがニューラルネットとの接続によって拡張されるはずだ。(196頁)

人間の脳がネットワークに繋がり、膨大な知識を自分のものとして使うという時代がもう既に到来しているワケで。
これも最初はもの凄く簡単で、美術館に於けるイヤホンガイド。
これが原型。
絵を見る時、意味がわからない。
でもイヤホンガイドを借りると絵の説明をしてくれるので。
歌舞伎だって外国の人は意味がわからないが、イヤホンガイドを付けると「出てきた彼女は子供亡くし、今、探しながら泣いております」という理解の拡張がそこにあるという。
拡張という、そういうこの事象を見る、この出来事を見る。

映画『マトリックス』では、ヘリコプターの操縦技術を脳にダウンロードするというシーンがあった。(196頁)

マトリックス (字幕版)



これがもう間もなくできるんじゃないか?という。
前に話したことがある
片手だけしか今、できていないのか。
そこにグローブみたいな手を付けると、手の動きがクラシックピアノを弾き始めるという。
それは手袋が弾いている。
これをもの凄く大きい意味で言うと「ショパンが弾いた手にしろ」という命令を出すとショパンが弾いた通りに弾けるという。
「体はゆく」の時に出てきたエクソスケルトンのことを指していると思われる)
例えばしっかりした用具を付けてパットを握って「イチロー」をジャックインするとイチローのヒットが打てるとか大谷のホームランが打てるとかという、そこまでなるのではないだろうか?という。
SF。

道具なしの「裸の動物」としてはネアンデルタール人のほうが強かったので、もし石器が発明されていなければ、現在の地球は彼らが支配していたかもしれない。しかし石器という道具によって拡張された能力は、ホモ・サピエンスのほうが高かった。いわば「矯正学力」でネアンデルタール人を上回ったわけだ。(199頁)

その道具はどうやって進化させたのか?
今日の問題にする。
これはディープラーニングと言うらしいが、道具を進化させる為に必要なのはたくさんの話し合いで。
(本の中の「ディープラーニング」の紹介内容とは異なる)
暦本さんは非常にヒューマン。
何かハッとして本に赤線をひっぱったのを覚えている。
武田先生が「(今朝の)三枚おろし」にネタを持ち込むワケだが、武田先生一人に任せておくと「武田先生一人が面白い」という番組になってしまう。
水谷譲を話し相手にしていると、番組そのものが予想もしなかった内容になり意外な方角に話題が広がってゆく。
媚びるワケではないが水谷譲に巡り合ってよかった。
何か時々ふと、最近、そういう当たり前のことに感謝できるような自分になった。
話題が盛り上がらないと乳の下を掻かれるというような屈辱を受けるのだが、それが武田先生を鞭打つ。
だから一人の価値観で物事を進めてはいけないという。
人気がある人に集中してはいけない、と。
本当にそうだと思う水谷譲。
「あの人さえ使っておけば何パーセント取れる」というような発想ではなくて。
その人を殿様にしてはダメだと思う水谷譲。
ちょっとこのあたり発言が微妙になるので。
一般論。
武田先生達は一般論を言っている。

テクノロジーの進歩というのは、中間の認識を多く持つことだそうだ。
皆さん、これは科学者らしい言葉。
テクノロジーを進歩させるとは中間の認識を多く持つことで、中間の認識をたくさん持つことが改良に結びつくのだ、という。
中間層は多様性に満ちている。
だからその多様性を改良に活かす意見とすることなんだ。
繰り返す。
世界は専制、たった一人の独裁者を嫌い、たった一人の人気者が支配するという世界を嫌い、自由を求めて自在に人の多様な意見を吸い上げるというシステムを好むという。
私共はどちらかと言えばそのことを踏まえて政治的に言うとウクライナを支援している。
「申し訳ないねぇプーチンさん。お宅のロシアに多様性を感じないんですよ」
いろんな人がいろんな意見を言っているという人間の声をあまりおたくの社会は静か過ぎて我々はダメ。
民主主義とは何か?
喧しいということ。
いろんなヤツが勝手にものを言って。
でも喧しいことが民主主義。
だから「うるさい」を否定してはいけない。
今日は冴えている。
おっしゃる通りだと思う水谷譲。
もうゾクゾクする。
自画自賛。
「我田引水」
好きな四文字熟語。
自分の田んぼに水を引かなくて誰に引くんですか?
こういうことなので、日本社会の弱さみたいなところは案外強さに変わり得ることがあるぞ、と。
これは反対する人はいるだろうが、嫌う人は嫌うのだろう。
マイナンバーカード。
みんな手続きしないで困っているじゃないか?
マイナンバーカードをICチップで注射で打てばいいんだ。
小さいのだったら打てるのではないか?
小さいICチップにして、体の中に埋め込んでおけばPASMO、Suica、それからアイデンティティカード。
水谷譲の猫の首に番号が書かれたチップを(埋め込んだ)。
全然わからないぐらい小さいので猫も痛いともスンとも言わない。
人間なら、なおさらできると思う水谷譲。

監視カメラを付けると「個人の自由が無くなる」とかと言ったが、もう今、監視カメラは犯人を割り出すのに最高のシステムになってるじゃないか」と。
これは逆に言うと今、最も監視カメラが発達しているのが中国。
中国の学校では凄い。
これは中国に負けてしまう。

深圳あたりの学校では、生徒の頭に脳波を計測するバンドをつけた状態で授業をやっているぐらいだ。(226頁)

中国は凄い。
ちょっとやり過ぎな気がする水谷譲。
暦本さんはそういう中国がいいとはおっしゃっていない。

この暦本さんの面白いところは何がいいかというと、「妄想する脳」を作らないと何事も発展しない。
管理された脳ではダメ。

日本という国は、−中略−ある種の「妄想大国」でもあったはずだ。(227頁)

『ドラえもん』は今も現役だし、『サイボーグ009』や『鉄腕アトム』などは古典として生き続けている。『機動戦士ガンダム』や−中略−『新世紀エヴァンゲリオン』など、(228頁)

これらの物語は妄想から生まれたんだ。
中国やロシアに於いて妄想は非常に限られた人しか持っていない。
それじゃダメなんだよ。
中間層の妄想が大事なんだ。
いろんな妄想があっていいんだと思う水谷譲。
ところが中国やロシアでは限られた人しか妄想ができない。
アメリカの「偉大な国」。
それもトランプさんの妄想かも知れない。
妄想はいろんな人が持っていないと活力にならないという。
妄想はどこから生まれるかというと「不真面目」から生まれる。
(本では「不真面目」と「非真面目」を区別していて、このあたりは「非真面目」)
そういう不真面目から生まれる妄想を大事にしないとダメですよ。
このへんはわかりやすい。
「遊びから生まれる」に近い感じかと思う水谷譲。

暦本さんは古い話を。
こんな職種があった。

 かつて、炭鉱には「スカブラ」と呼ばれる人たちがいた。−中略−みんな一生懸命に炭鉱で働いているのだが、一〇〇人のうち五人ぐらいは、何をするでもなく機嫌の良さそうな風情でブラブラとそのへんを歩いている。−中略−スカブラの人たちは、「平時」は何もしないけれど、いざ事故やトラブルなどが発生するとすぐに駆けつけてみんなを助けてくれるからだ。アリなどの集団でも同様で、観察すると実際には働いていないアリが一定の比率でいるそうだ。(230頁)

(番組の中で「スカプラ」と言っているようだが、本によると「スカブラ」。ここでは本に従って「スカブラ」に統一しておく)
こういう「スカブラ」みたいなことはとっても大事なことで

 グーグルには、かつて「二〇パーセントルール」と呼ばれる制度があった。「従業員は、勤務時間の二〇パーセントを自分自身のやりたいプロジェクトに費やさなければならない」というルールだ。−中略−以前はそれがグーグルの「イノベーションの源泉」とも言われた。(231頁)

こういうふうにして、みんなの為の妄想できる、そういう人間の組み合わせとかがタフな企業を作っていくという。
これは考えさせられる。
イノベーションの為のアイデアが生まれる為には、こういう不真面目な妄想から人間がいろいろこう発展させていくという。
とにかく妄想は重大なアイデアを作る為のスイッチなのであるという。
何か勉強になった。
始めて「スカブラ」という言葉を聞いた水谷譲。
言葉は悪いが「スカブラも使いよう」だと思う水谷譲。
だから一色に染まってはダメ。
今、世の中で一色にまとめるのがいいことだと思っている人がいて。
最近の大河ドラマを武田先生は評価する。
蔦屋重三郎が主人公なのだが、蔦屋重三郎というのは何者かというと、今でいうと芸能界のことを出版物にして芸能界をアピールするという。
大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」
そうやって考えると凄くわかりやすくて。
あの「べらぼう」を書いておられる作家さんは素晴らしい。
「やるなぁ」と思って。
その名前をつぶやいていたらスタッフから「前にお付き合いしたじゃありませんか」と言われて。
「JIN -仁-」

JIN-仁- BD-BOX [Blu-ray]



(脚本はどちらも森下佳子氏)
だから武田先生は吉原に詳しい。
そういう意味でスカブラ。
蔦屋重三郎も一種スカブラ。
文化というのはみんなスカブラ。
「文化放送の電気のコード」のことを「QRコード」と言うのかと思った武田先生。

(この週の最終日は「雑感」ということで、本の内容とは無関係なので割愛)


この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック