柿内尚文さん、ポプラ社「このオムライスに、付加価値をつけてください」。
何気ないものだが、その何気ないものに予想もしなかった価値が付いているとわかった瞬間に人間というのは惹かれるもの。
うまくいかない人は付加価値をつくることよりも、目の前のこと(緊急度が高いこと)やすぐできること、やりやすいことを優先してしまいます。(158頁)
「そんなことじゃうまくいきませんよ」とおっしゃっている。
「こんなに頑張っているのに、どうして売れないんだろう?」(159頁)
うんと値段も安くしたし、頑張ったのに。
Aさんの間違いは、「問い」にありました。−中略−
Aさんは「どうして売れないんだろう?」という問いを立てました。
でも、ここで立てるべきだったのは別の問いです。それは「どうしたら売れるんだろう?」です。(160頁)
子供でも分かる理屈。
どうしたら売れるのか?
問いを変えるだけで、結果は変わります。(162頁)
売れる為の付加価値をどうやって作っていくか。
長所と短所は「表と裏」と言われますが、たとえば小売りをしていて、せまい店なので品数で勝負ができないときは、「セレクト」「厳選」とポジティブ価値化することができます。(176頁)
三軒茶屋なんかにあるお店であるが、キャッチコピー「汚いけど美味い」。
これは本当に誘われる。
「店構えそのものはあまり上等じゃないけど、あそこのちゃんぽんは美味いよ」とかという。
付加価値をつくるきっかけは、「視点」から始まります。
視点をいろいろと変えることで、付加価値の要素が見つかるのです。(178頁)
この「視点」、とても大切です。
なぜ大切かというと、そもそも「考える」ということは「視点をさまざまな方向に向けること」からスタートするからです。(178頁)
付加価値には接着効果があるのです。−中略−
「つながり」が発生するのです。(181頁)
そのつながりをつくるのが、「3つのこと」。
それは、自分ごと、他人ごと、社会ごとです。(181頁)
10代のころ、僕が好きになった女の子は、ある曲が大好きでした。−中略−彼女が好きな曲ということを知ってからは、何度も何度もその曲を聴き、やがて大好きな曲になりました。(180頁)
「家族が好きなスポーツチームを家族全員で応援しに行く」とか。
また、SDGsとかマイボトルに参加したり協力したり。
そういう同じものを持つことによってそれが付加価値になってゆくという。
些細なことでも付加価値というのは見つかる。
これも敢えてもう商品名で言ってしまう。
武田先生がお嬢さんから聞いた話。
お嬢さんが勤めているのだが、ちょっとした手際の悪さがあって。
ミスをしたらしいのだが。
そうしたら手順があって、すぐお詫びに相手方のところに出かけるのだが、その時に持ってゆくモナカがある。
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これは名前が凄い。
「切腹最中」
これは大ヒット商品になっているそうで、会社同士の取引の中でミスとか何やらエラーがあった場合「本当に申し訳ありません。これはささやかなもんですが、御一同で食べていただければ嬉しゅうございます」。
頭を下げる時にスッと差し出すのが切腹最中。
これは何で「切腹」と付いたか?
これは切腹して果てた忠臣蔵の浅野内匠頭が切腹したお屋敷(田村屋敷)跡にお店が。
それで思い切って「切腹最中」と付けたらしい。
これが大当たりで。
そういう演劇性、物語を持っていると、この付加価値というのが付くというお話。
付加価値とは「喜びの素」とも言いかえられます。(193頁)
それを手に入れることが喜び。
その喜びを探る。
これが大事なんですよ、という。
今はタイパが叫ばれる時代。効率のよさや、時短、手間いらずが付加価値として強く求められています。(195頁)
ちょっとだけ手間をかけることを付加価値にしました。(196頁)
人間は面倒なことが大嫌いだが、手間がかからないとやりがいを感じない。
ハンバーグステーキ。
効率を考えれば食べやすい温度でサッサと食べて出て行ってもらえば回転効率もいいのだが、わざわざあれを無闇に熱い鉄板の上に置くという。
それを運んできて、タレをかける。
そうするとタレ玉がブァ〜!っとあたりに散る。
お客さんにエプロンをつけてもらいます。わざわざエプロンをつけることはお客さんにとっては手間ですが、これがおいしさへの期待感を演出します。(197頁)
「プチ手間」は付加価値化されることがよくあります。(199頁)
付加価値になっているか、不要価値なのかを見極めるポイントは、対象になる人がそこに自分なりの意味を発見できるかどうかです。(200頁)
手間は付加価値にも不要価値にも変化するので、見極めや伝え方が重要です。(200頁)
テレビの通販番組は「わかりやすい」を大切につくられていますね。
機能性をパッと見てわかる形で表現し、そこに使用者の喜びの声や、番組出演者の感想といった感情要素をプラスしたものが多くあります(201頁)
「わかりやすさ」が購買意欲につながる。
これは大事。
ニュース解説、コメンテーターと違ってあの通販番組では専門用語は使わない。
内容をよりわかりやすく、より多くの人に届くように変換することや、意味を「見える化」させることです。(201頁)
これがセールスの術で。
そういうこと。
ただし、「メイドインジャパン」を名乗る時、最も重大なのが既存価値。
その商品自体に価値がなければダメだ、その商品そのものが良くないとダメだ、という。
いい例で挙げてある。
これはもう本当に大賛成。
既存価値そのもの、価値そのものがあるという一例で今治タオル。
これはわかる。
今治タオルブランドのロゴマークは佐藤可士和さんがデザインしたものですが、認定商品にはロゴデザインが記された織りネームが必ずついています。このネームの裏側には4ケタの番号が記載されているのですが、これはタオルを製造したメーカーの企業番号です。
市場に出回った後で、タオルに何かトラブルが起きたときに、この企業番号からどのメーカーの製品かわかるようになっています。
今治タオルの既存価値である品質のよさを保証する、付加価値なのです。(207頁)
だから「安いタオルよりも、やや高い今治タオルの方が、後々のことを考えればお得なんですよ」という。
タレントにも何かこういう登録商標が欲しい。
付加価値は、プラス面だけでなく、マイナス面も気にする必要があるのです。(209頁)
例えば動物愛護で当選した国会議員の方がパワハラで騒がれたりなんかすると「生き物は愛するくせに自分のスタッフは愛せないのか」とか。
たちまちのうちにひっくり返る。
イメージの破綻ということ。
メディア、電波メディア、文字メディア等々はイメージの破綻、付加価値をひっくり返すことが得意で。
一連のニュースを大きく牽引したのが「令和の米騒動」というマイナス付加価値がついたネーミングでした。(210頁)
それからスリランカでサーフィン。
いいじゃないですかスリランカ。
いい波が立つのだろうが・・・
(れいわ「山本太郎代表」が解散情報が飛び交うなか「スリランカでサーフィン休暇」 支援者は知らずに「雲隠れ説」も 健康問題を理由に議員辞職(全文) | デイリー新潮)
まあタイミングは悪かったということなのだろう。
理由は脳の特性にあります。ネガティブ、マイナスなことは自分の生命を脅かすリスクにもつながるので、感知能力が高いのです。(211頁)
「悲観主義は気分によるものであり、
楽観主義は意志によるものである」(211頁)
悲観は気分。
「なんかそんな気分になっちゃった」
楽観は意志。
「俺はこうやるんだ」という意志があれば、あなたは楽観主義になる。
悲観は「バッターボックスに立ちたくない」という気分になるが、楽観であれば立ち続ける。
そういうエネルギーになる。
楽観主義。
長嶋茂雄さん、ミスターはこの典型な楽観主義の方で悲観が大嫌い。
なぜかといったら、何もせずにそこに座り込んでいる人のことを「悲観」と言う。
打席に立つと三振もするだろうけれど、ヒットは打席に立った先にしか生まれません。(213頁)
忘れてはならないこと。
ここからは決して悲観でかがみこまず、楽観を貫いた良き例ということで。
島根県の海士町がキーワードとして用いた言葉です。
海士町は、人口が2230人ほどの小さな島ですが(225頁)
この海士町が発したメッセージが「ないものはない」という言葉です。(225頁)
これが結構評判を呼んだ。
ないもの、足りないものに視点を向けるのではなく、実は気づいていないだけでそこにあるものに視点を向け、付加価値を発見する。(226頁)
「大事なことはすべてここにある」という視点(226頁)
回転寿司の生みの親である白石義明さんは、ビール工場で、ビールがベルトにのって次々と運ばれて来るのを見て、「これを寿司に当てはめたら!」と考え、回転寿司のアイデアを思いついたそうです。(234〜235頁)
人気のサーモスの真空断熱ケータイマグ(水筒)も、−中略−
キャップ部分の開け閉めがワンタッチでできて、直飲みができる便利さが評判ですが、この「ワンタッチ」というアイデアを着想したきっかけも「当てはめ」だったそうです。(235頁)
片手でカチッとワンタッチで開けられるライター、この使いやすさをマグに当てはめたのです。(236頁)
それからここから芸能界話。
これは武田先生のネタ。
なかにし礼作品、菅原洋一「知りたくないの」。
(ここで本放送では「知りたくないの」が流れる)
一行目の歌詞
あなたの過去など 知りたくないの(菅原洋一「知りたくないの」)
この詞に出会った菅原さんは、凄く抵抗を感じ、「『過去』とは日本では前科のこと。「犯罪の前科」のことを意味してるんだ。そんなことをこのロマンチックな歌に乗せたくない」。
しかし若き、なかにし礼は絶対に譲らなかった。
譲らない理由が「『過去』という、ややほの暗い言葉を敢えて恋愛の感情に使うことによって、深い愛の言葉として響くはずだ」「そういう恋の歌に自分は挑みたいんだ」と。
「過去がある」
こういうハッとするような言い方が、いい言葉に聞こえる。
同じ言葉が商売の世界にある。
訳ありという言葉には、何だか人を惹きつけるものがあります。(248頁)
形が悪くて流通に乗せられない野菜と言うよりも、訳あり野菜と言ったほうが魅力的に伝わる。
つまり売れない野菜に付加価値が生まれたわけです。(249頁)
たとえば、こう言いかえたらどうでしょうか。
●短所 → 伸びしろがある
●待ち時間60分 → 幸せまであと60分、熱狂まであと60分
●田舎には何もない → 田舎には「何もない」がある
●駅から遠い家 → 駅から家までの道があなたの思考の小道に
●坂が多い街 → 天然ジムタウン(250頁)
面白い。
これは商売の話。
こんなところがある。
熱海にあるゲストハウス。
空き店舗になっていたところをゲストハウスにしているのですが、そこでは白ごはんとみそ汁のみのセットが提供されています。
なぜおかずがないのかというと、熱海の街中にある干物屋さんとの連携を考えたから。お客さんは購入して持ち帰ってきた干物を施設内で焼いて、朝食として楽しめるという仕組みをつくっています。−中略−視点を俯瞰化することで付加価値が生まれました。(251頁)
古くなった温泉ホテルを「昭和レトロなホテル」としてリノベーションしています。(251〜252頁)
「昭和レトロ」は大評判。
こうしたちょっとした視点の変化で、付加価値が生まれます。(252頁)
暗い言葉を明るい響きに変えること。
そのことによって「全然違う価値観が湧いてきますよ」という。
こういうのは「なるほどな」と思う。
福岡を訪れた際、おもしろい居酒屋チェーンを発見しました。そのお店は、「鶏皮」を前面に打ち出していたのです。(281頁)
武田先生が博多にいる頃はそんなものを食べたことがなかった。
福岡は何が凄いかというと、この鶏皮に特化したお店がある。
そこに特化しているからなおさら美味いのだろう。
それでその鶏皮の魅力を中心に持ってゆくということで焼き鳥のイメージを全部変えたという。
「特化」といっている。
「特別に狭い領域の一点を狙う」という。
そういうメニュー作りが上手い。
こうやって考えると「付加価値」は凄いもの。
「付加価値」という、たった四つの文字だが、世界は広い。
ハワイのダウンジャケットから始まって鶏皮まできた。
お肉がおいしいことで知られる、あるレストランにいったときの話です。
食後にお店の外国人のホールスタッフがテーブルにやって来ました。−中略−
「食後にお酒はいかがですか? お肉の消化を助けてくれますよ」
そう言って、1本のお酒のボトルをテーブルに置いたのです。
そのボトルの中にはお酒だけでなく、洋梨が丸ごと1個入っていました。−中略−
そして、僕らに質問を投げかけてきました。
「どうやってボトルの中にこの果物を入れたか、わかりますか?」(285頁)
ボトルの中には、ボトルの口よりも明らかに大きな洋梨が入っています。(286頁)
2つに分かれたボトルを後でくっつけたのか? でもボトルに継ぎ目はありません。−中略−
なんと、洋梨が小さいうちに枝にボトルを縛りつけて、洋梨の実をボトルの中で育てていたんです。(286頁)
この話をされたうえで「このお酒、いかがですか?」と聞かれたら、当然「飲みたい!」と思いますよね。(287頁)
心に響く話と一緒にお酒を勧められれば、それは興味をそそり、「飲んでみたい」を生み出します。
まさに高付加価値の創出です。(287頁)
こういうのは面白い。
興味深い付加価値。
愛知・名古屋の面白さ。
これはもうこの土地に行くとよくわかる。
愛知県には個人経営の喫茶店が多いということです。(321頁)
これはなぜかというと、この個人経営の喫茶店のモーニングが無闇に豪華、という。
いろんなものを頼んでコーヒーが付いてきたのではない。
愛知のモーニングに注目が集まったのは、「コーヒーを頼んだだけなのに、こんなにいろいろついてくる」という点です。(323頁)
愛知のモーニングの付加価値化は、「主従逆転法」が使われています。(323頁)
人間には三つの場所が必要なようだ。
ファーストプレイスを生活拠点。セカンドプレイスを仕事や学業の拠点。そしてサードプレイスを日々の煩わしさやストレスなどから解放される場所で(329頁)
カフェだけでなく、ジムや公園、図書館などもサードプレイスです。(329〜330頁)
全く価値の違う場所を持つこと。
これが大事だ、と。
このサードプレイス、第三の場所をどうやって切り開くか?
これを別の作家の人が、自分の人生の中に「そこに触ることはできるが支配できない場所、そういう場所を持っていないと人間ってダメですよ」という。
この一言に惹かれて、ここから掘り下げてまた別の機会に話す。
老いの付加価値を見つける。
「老いの付加価値」とは何か?
不便を見つける。
体験を話す。
ウナギ弁当の破けないタレのビニール袋。
腹が立つ。
若い方は何気なく破ける。
年を取ってきて握力が落ちると、あの油っぽいビニール袋は開かなくなる。
一筋ちょこっと切ってくれれば・・・
一筋切れているのではないかと思う水谷譲。
切れていないところがある。
それから栓の開かない炭酸水のペットボトル。
回しても回しても年寄りで、もう手の溝が薄くなっているものだから手の中で回ってしまう。
それからコインが滅茶苦茶入れにくい駐車場の精算機。
少しバックしないと百円玉が入らないという。
それは止め方が悪いのではないかと思う水谷譲。
違う。
カードを入れたら肩が攣ってしまう。
もっと近くに止めればいいのではないかと思う水谷譲。
あれは絶対、あの駐車場のあの精算機の問題。
というワケで、付加価値を付けての今回だった。



